Billy F Gibbons
Photo by Andrew Stuart
ZZ TOPのギタリスト兼ヴォーカルとしてロック殿堂入りを果たしているレジェンド ビリー・ギボンズが2枚目となるソロ・アルバム「ビッグ・バッド・ブルース」をリリースした。1枚目のソロ・アルバム「ペルフェクタムンド」ではアフロ・キュ―バンなラテン・サウンドへのアプローチにより良い意味でファンを驚かせたビリーだが、今作品ではブルースへ原点回帰。ブルースの先人たちが築き上げた音楽に敬意が表わされるとともに真にビリー・ギボンズらしいファットでドライヴしたブルース・ロックなギター、ヴォーカルが炸裂した濃い作品となっている。ビリー・ギボンズ・スタイルで世界中の音楽ファンを魅了するギター・レジェンドに新作「ビッグ・バッド・ブルース」について訊いた。
Interview / Text Mamoru Moriyama
Translation Hiroshi Takakura
Photo by Andrew Stuart
Muse On Muse (以下MM) : 新作「THE BIG BAD BLUES」は、Billy Gibbonsらしさ満載の骨太で奥深い素晴らしいブルース・ロック・アルバムです。2作目となる今回のソロ・アルバムを制作することとなった経緯を教えて下さい。
Billy F Gibbons (以下BG) : 前作「ペルフェクタムンド」の成功もあって、俺達の友人でもあるコンコルド・レコードの重役のジョン・バークが連絡してきて、ブルース寄りの続編をやってみないかって提案してくれたんだ。俺達は「ブルースをやって失う物はない」ってよく言ってるからすぐにOKを出して制作を開始したんだ。ブルースは自分たちのルーツだから、自分の家に帰ってきたような感じがしたよ。
MM : アフロ・キューバンと骨太のブルース・ロックが融合したファースト・ソロ・アルバム「PERFECTAMUNDO」は、ZZ TOPファンに驚きを与える作品でした。今回はよりブルース・ロックへ立ち返る作品ですが、ZZ TOPとしてではなく自身のソロとして取り組む上でどのようなことを考慮しましたか?
BG : ソロとして音楽の旅に出る時は普段とは全く違うアプローチが必要だ。全て違うんだ。レコーディングのやり方も違うし、違うミュージシャンと共演する。 細かい部分の完成度は少し落ちるかもしれないが、制約される事なく自分のやりたい事にチャレンジする機会なんだ。
MM : レコーディングはどのように進められたのでしょうか?
BG : プロジェクト初期の段階でミュージシャンとスタジオに集まってブルースの曲をジャムした。色々と試しながらジャムしていただけでなんだけど、セッションで録音された大部分がアルバムに使われた。レコーディング・エンジニアのチームが録音してるかどうか正直分からなかったんだけど、セッションは録音されていたから本当によかった。全体的なレコーディングのプロセスは、気持ちをオープンにして感じたままにプレイし続けるっていうだけだった。自然にアイデアが満ちあふれるような状況だったよ。
MM : 今作にはMuddy WatersやBo Diddleyといったレジェンド達の曲もカヴァーされています。ブルースの歴史において多くのレジェンド・ブルース・マンや曲が存在しますが、それらの中から彼らの曲を選んだ理由についてお聞かせ下さい。
BG : このアルバムでカバーした曲には初めて聴いた時からずっとインスパイアされ続けている。マディー・ウォーターズがミシシッピのデルタ地域を離れて、彼が”電気を発見した”シカゴに移住していなければ欧米のカルチャーは違ったものになっていただろう。彼がいなければエレクトリック・ギターを使ったブルースは産まれていなかったし、彼の影響なしではロックンロールも誕生していなかった。“Standing Around Crying”と“Rollin’ and Tumblin”は彼が残した伝説の証言となる曲だ。彼とボー・ディドリーとジェローム・グリーン (通称マラカ・マン)はヒップという言葉を超えたクールな存在なんだ。ボーの音楽はブルースを元にしているが、ベースが別次元に達していて、彼の”Crackin’ Up”をカバーするのはチャレンジだったよ。イントロをやるのに苦労したけど最終的にはまとめあげる事ができた。“Bring It To Jerome”に関しては俺達は出来上がりに対して確信を持っていたよ。
MM : アルバムのラストを飾る”Crackin’ Up”では他の曲とのテイストの違いを楽しめます。
BG : そうだね。この曲はボー・ディドレーへのさらなる追悼の気持ちを込めた。彼はオリジナルな存在で、他の誰とも違っていて、真のアイコンなんだ。彼がまだ生きていた時に彼には称賛の気持ちを伝た事があるんだけど、そんな彼との思い出をずっと大事にしたいって気持ちを込めた。
MM : アルバムで使用しているギター、アンプ、ペダル類についても教えて下さい。
BG : “The Big Bad Blues”では2つのギターしか使用していない。Jolin Bolinが俺のために製作した右利き用、左利き用のペアのギターと、オースティン・ハンクスの為に作られたもう1本だ。どちらのギターもアウトプットから1-2オクターブ低い低音が鳴らせるAndy Altの最新のピックアップ、リトル・サンダー2を搭載しているから、ギターなのにベースギターの極めてソリッドな低音が出せるんだ。ツインギターの両方からローエンドの音を出せるんだよ!そのギターはマーシャルの100ワット・アンプとMagnatoneのバックラインアンプに繋がれていてシリアスな音が出るんだ。ペダルは使い慣れたBixonic Expandoraを使用していて、ステージではこのペダルでブーストされたビッグでバッドな音を出すのさ!マット・ソーラムはグレッチ社の最新のドラムセットを使って強烈なビートを奏でるだ。そうやって俺達は強烈な音速の列車になる。
MM : 今作でもフィーリングに溢れた太く、豊かなあなたのシグネーチャー・トーンが健在です。あなた流の音作りについて教えて下さい。
BG : 全ては手から始まるんだ。そして楽器、アンプ、エフェクターと繋がっていく。音をしっかり出すための鍵はそれらのバランスにある。
MM : ファンの人達へメッセージをお願いします。
BG : “The Big Bad Blues”を気に入ってくれたら嬉しいよ!ボリュームを上げて大音量でプレイしてくれ!
Billy F Gibbons official site : https://www.billygibbons.com/
Billy F Gibbons / The Big Bad Blues
2018年10月17日発売 (輸入盤9/21発売)
UCCO-1198 SHM-CD:¥2,600+税 Concord Records.
01. Missin’ Yo’ Kissin’
02. My Baby She Rocks
03. Second Line
04. Standing Around Crying
05. Let The Left Hand Know
06. Bring It To Jerome
07. That’s What She Said
08. Mo’ Slower Blues
09. Hollywood 151
10. Rollin’ And Tumblin’
11. Crackin’ Up
12. Hot Rod (JAPANESE BONUS TRACK)
13. Money Like Water (JAPANESE BONUS TRACK)