Vol.6 Jordan Rudess / October 2011

Jordan Rudess (DREAM THEATER)

新作「A DRAMATIC TURN OF EVENTS」をリリースしたDREAM THEATER。今回のアルバムは、これまでジョン・ペトルーシと共にバンドの司令塔的な役割を果たしていたドラムのマイク・ポートノイがバンド脱退するという試練の中、新メンバーにマイク・マンジーニを迎えて制作されている。新たな展開を迎えたDREAM THEATERの中で、その多彩かつ繊細なキーボードサウンド、テクニックで楽曲に華を添えると共に、ソングライティングの面でも活躍しているジョーダン・ルーデスが新作を語る!

Interview / Text  Mamoru Moriyama
Translation         Tomoko Kikuchi

Muse On Muse (以下MM) : まずは前作からおよそ2年ぶりに新作アルバム「A Dramatic Turn Of Events」が完成し、リリースされた今のあなたの心境をお聞かせ下さい。
Jordan Rudess (以下JR) : このリリースにとても誇りを持っているんだ。DREAM THEATERの新しい幕が開けたように感じる。今年は大きなチャンスがたくさんあって、俺たちがかなり有望な方向へ進めて嬉しいよ。

MM : この2年の間にはマイク・ポートノイがDream Theaterから脱退するという大きな出来事がありました。マイクの脱退はDREAM THEATERの音楽やメンバーの心境にどのような変化を与えたのでしょうか?
JR : マイクが脱退した時はとても悲しかったよ。何年間も、彼と一緒に音楽を作ってバンド活動を共にし、素晴らしい時を過ごしたから、彼を失うのはとても辛かったよ。 バンドにとって難しい変化だったけれど、DREAMTHEATERのメンバーの才能はまだたくさん残っているし、十分にバンドを続けていける以上の強さと結束力がある。

MM : マイクに代わる新しいドラマーを探す上で、バンドが新しいメンバーに求めるものは何でしたか? 勿論ドラムテクニックもそうですが、音楽性やそれ以外でバンドが重要視していた点があれば教えて下さい。
JR :  俺たちに適しているだけでなく、俺たちのレベルアップに貢献してくれるような、音楽的ソウルメイトを見つける必要があったんだ。

MM : 新しいドラマー マイク・マンジーニと共にバンドでプレイ、レコーディングした印象は如何でしたか?
JR : 彼は本当に素晴らしいよ。彼から刺激を受けたし、彼は俺がより良いミュージシャンになるのを助けてくれたような気がする。

MM : それでは「A Dramatic Turn Of Events」について、まずはアルバムの制作コンセプトを教えて下さい。
JR : 全ての歌詞が、人生を変えるを主なイベントを描写しているアルバムなんだ。タイトルはそこからきている。でも、マイク・ポートノイの脱退については歌詞に全く反映していないよ。

MM : 今回のアルバム用の曲作りはどのように行われたのでしょうか? メンバーの共作としてクレジットされている曲は、各メンバーが持ち寄った曲をスタジオで構成したのでしょうか? 曲が完成するまでのプロセスを教えて下さい。
JR : ほとんどの曲の構成はスタジオでやった。俺たちは、同じ部屋に座って、お互いにアイディアを出し合うのが好きなんだ。俺がギターリフからアイディアを得たり、キーボードのリフがジョンをインスパイアするんだ。たまに、家から持ち寄ったアイディアを使うこともある。ペトルーシがその方法で”This is The Life”と”Beneath the Surface”を作ったんだ。

MM : 今回のアルバムでは以前に増して各メンバーの持ち味が巧く曲に活かされているように感じられます。マイク・ポートノイとジョン・ペトルーシが二人でプロデュースしていた以前のアルバム制作と、ジョンが一人でプロデュースしている今回のアルバム制作とでは何か変化が感じられましたか?
JR : 今回俺たちが行った誇らしい事のひとつが、メンバーそれぞれの楽器との役割を話し合ったことだ。俺たちは確実に、バランスのとれた、全員が全力をつくしたアルバムになるようにしたかったんだ。 自分たちを一つのバンド、ミュージシャンとして深く見つめなおし、どうすれば自分たちの強さを最大限に出し前進できるかを知ることが重要だと感じたんだ。

MM : オープニング曲の”On The Backs Of Angels”からDream Theaterらしいハードでドラマティックかつメロディックな曲です。この曲であなたのキーボードはギターのディストーション的なサウンドやソロでのピアノ的サウンド、それ以外にも曲を味付けする様々な音色のプレイを聴くことが出来ます。曲中の各パートと使用する音色の組み合わせはどのような観点から選んでいるのでしょうか?
JR : 色々なタイプのサウンドを作ることが大好きで、もちろんキーボードの管弦楽法にもとても興味を持っているよ。何年にも渡ってDREAM THEATERと作り上げて来た、たくさんの作品の影響は大きいね! 俺は、自分のサウンド・ライブラリーと呼べるくらいのかなり多くのクールなサウンドを持っている。このアルバムは、面白い部分、風変わりなサウンドと同様に、素晴らしいオーケストラ色が出ている。たくさんの時間をかけたから、自由にサウンド作り上げることができたよ。

MM : “Lost Not Forgotten”ではトリッキーなギターとのアルペジオのハーモニーを聴くことが出来ますが、これはあなたのアイデアでしょうか、それともジョンのアイデアでしょうか?
JR : ジョンがかなり長く続く突飛なギターのパターンを見つけたんだ。それに俺がクレイジーなハーモニーを加えて、DREAM THEATERの狂気を表したんだ。このパートは、聴く人たちを本当に熱狂的にするみたいだ!

MM : “This IS The Life”はとても美しく感動的な曲です。あなたの美しいピアノにジョンの素晴らしいギターソロを聴くことが出来ます。今回のアルバムにおけるジョンのギタープレイは以前にも増してメロディックでしっかり構成された部分が多くなったように感じます。あなたはそれについてどのように感じますか?
JR : そうだね。ジョンのギタープレイはこのアルバムで十分に成長したと思う。たくさんの情熱と、表現力に富んでいて、俺も影響されたよ。ピアノで使っているSynthogys Ivory Softwareにもいつも奮起させられるよ!

MM : “Far From Heaven”でもあなたのピアノ、ストリングのサウンドが素晴らしいです。 DREAM THEATERの素晴らしさの一つにハードでヘヴィなギターリフがメインの曲が続いた後に、ふとアコースティックなピアノによる感動的な曲が入っている点があげられます。こういった対比のバランスの必要性についてあなたはどのように考えていますか?
JR : ミュージシャンをしていることで面白い事のひとつは、俺たちは良いメロディーが大好きで、美しいシンプルな音楽を避けているわけではないんだ。俺たちはとてもテクニカルだと思われていて・・、まぁ、ある程度のレベルにはいると思うけれど、俺たちが一般人またはミュージシャンとして一番大事にしていることは、俺たちが美を愛する事と常に心に触れるように心がける事だ。

MM : オープニングの”On The Backs Of Angels”からラストを飾るアコースティックで静かな曲”Beneath The Surface”までを通して聴くと、まるで感動的な映画を見たような感覚になります。収録曲の曲順はどういった観点で選んだのでしょうか?
JR : たくさんの意見と注意があったよ。俺たちは、ヘビーなパートとよりメロディックなパートの相応しいバランスを探したかったんだ。

MM : 今回のアルバムの特徴は収録されている曲のハードでヘヴィなものからアコースティックな曲まで、どの曲もメロディが印象的で素晴らしいものばかりであることです。 この点についてあなたはどのように感じていますか?
JR : 君がそのように感じ取ってくれてとても光栄だ。俺も、ハードな曲とアコースティックな曲のバランスがとても良くとれており、その事が最初から最後まで通して聴き通すことができるアルバムを作り上げたんだと思うんだ。 みんながそのように聴いてくれるといいな。

MM : 今回のアルバムには9曲収録されていますが、実際にレコーディングされた曲は何曲でしたか?
JR : 9曲だったよ。

MM : 今回収録されている曲の中であなたにとって印象深い曲はどの曲でしょうか?
JR : 毎日違う印象を受けるよ。俺たちが作った作品が本当に大好きだし、その日の気分にもよるんだ。 “Outcry”と”Breaking All Illusions”は自然なプログレッシブでとても気に入っている。”Far From Heaven”と”Beneath the Surface”は暖かく落ち着いた曲で、これらも好きなんだ!

MM : レコーディングにおける印象的なエピソードがあればお聞かせ下さい。
JR : “Beneath the Surface”に通じるシンセサイザーを探したのは、プロデューサーのジョンと俺の息の合った共同作業によるものだった。俺はシンセのソロを入れるというアイディアを持っていて、スタジオでジョンと一緒に取り組み、完璧なパートを仕上げたんだ!

MM : 今後のバンドのスケジュールについて教えて下さい。新作に伴う日本公演はいつ頃になりそうですか?
JR : 日本にはすぐ行けるといいなと思っている。俺の友達たちと、すばらしいオーディエンスが恋しいよ!

MM : 日本のファンへのメッセージをお願いします。
JR : ここ数ヶ月、日本のことはずっと気になっていたんだ。特に最近の震災の後だからね。日本に行けることと、みんなと音楽を共有し、みんなで一緒に笑えることを楽しみにしているよ。ありがとう!


A Dramatic Turn Of Events / DREAM THEATER
ワーナーミュージック・ジャパン WPCR-14185 ¥2,580(税込) 

1. On The Backs Of Angels
2. Build Me Up, Break Me Down
3. Lost Not Forgotten
4. This Is The Life
5. Bridges In The Sky
6. Outcry
7. Far From Heaven
8. Breaking All Illusions
9. Beneath The Surface