Vol.79 Tony MacAlpine / November 2017

Tony MacAlpine


Photo by Michael Mesker

病との闘いを制して見事に復活し、世界中のファンを安堵、喜ばせたトニー・マカパインが待望の7曲入り新作「Death of Roses」をリリースした。この作品では、一切の妥協を許さないその一音までが選び抜かれて構成された知的で美しい旋律にアグレッシヴ、ヘヴィさが融合されたドラマティックな楽曲が並んでおり、トニーのコンポーザー、ギタリストとしての才能、ミュージシャンとして高次元にある総合力が遺憾なく発揮されている。至高の完全復活作品「Death of Roses」についてトニーに訊いた。


Interview / Text  Mamoru Moriyama
Translation         Hiroshi Takakura


Photo by Michael Mesker

Muse On Muse (以下MM) : 体調の方は如何でしょうか?
Tony MacAlpine (以下TM) : 今はちょうど9月から10月まで続くアメリカ・ツアーの真っ只中(注. 当インタビュー時は9月中旬)で再びレコーディングやギグができる喜びを感じているところなんだ。体の調子は凄くいいよ!

MM : 人は大きな病を経験するとそれまでと人生観が変わることがあるとも言われていますが、あなたの場合はどうですか?
TM : そうだね。音楽を通して知り合った人々やファンからの愛に溢れたサポートに心から感謝している。僕だけじゃなく妻もだいぶ気持ちが楽になったみたいで、僕達二人はとにかくみんなの愛と応援に力づけられたんだ。これまでも音楽に対しては常に全力で取り組んできて、より良いミュージシャンになるよう努力を続けてきたし、これからも自分ができる限り素晴らしい作品を残して行く事を続けようと思ってるよ。

MM : こうしてあなたの新しい作品「Death of Roses」を聴くことが出来てファンはとても幸せに感じています。
TM : 僕もこういう風に自分が創りたい作品、ファンの人達がずっと楽しめる作品を創る事ができて本当にハッピーさ。僕は曲を書く時その作品の寿命を考えるんだ。そしてこの「Death of Roses」という作品が世代を超えて愛される作品になって欲しいっていう強い気持ちを込めて創ったんだ。この作品には他の曲、他の要素も盛り込みたかったんだけど、それは別のEPに分けてリリースした方がいいと考えたんだ。

MM : 新作「Death of Roses」はヘヴィ、重厚かつ起伏に富んだ素晴らしいメロディを持つ楽曲が揃った音楽的な完成度が高い素晴らしい作品です。あなた自身はこの作品についてどのように捉えていますか?
TM : プロダクションやアルバム制作について大事な事は沢山あるんだけど、まずは作り手が良いアイデアを持っていないといけないんだ。今アルバムは僕がこれまでに出してきた作品に比べても、音楽的に理想的な水準に達していると思う。コンセプトと音楽的なアイデアが素晴らしいレシピとなって音楽ができる。そしてこの作品が創られるタイミングも正しかったんだと思う。

MM : 作品に参加しているメンバーについて教えて下さい。
TM : ドラムを担当したのは、ハンガリー人のジェルゴ・ボーライで素晴らしいミュージシャンだ。彼は全てのスタイルを理解していてどのスタイルの楽曲においても高いレベルで自分を表現できるんだ。ベースにはピート・グリフィンに再び加わってもらった。ピートの演奏はすごくソリッドで、彼のような才能溢れるプレイヤー、と仕事ができる事を光栄に思っているよ。彼とはこれまでも多くの作品をレコーディングしてきてたんだけど、そんな僕達の輝かしいアーカイブに今作「Death of Rose」を加えようと決めたんだ。


Photo by Michael Mesker
L-R: Gergo Borlai – drums, Tony MacAlpine – guitar and keys; Pete Griffin – bass.

MM : アルバム用の曲作りはいつ頃から取り掛かっていたのでしょうか?
TM : 1年前だったかな。頭に浮かんだアイデアを曲に落とす作業と、そのアイデアをスタジオでセッションしながら形にしていく作業を始めたと思う。

MM : あなた流の曲作りのプロセスを教えて頂けますか?。
TM : どんなレコーディングでも一緒だよ。まずはアイデアがあってそれをラフなデモにしていくんだ。そしてそのデモを整えて曲として仕上げていくという流れだね。アイデアさえ良ければ形にする作業はそんなに難しくないんだ。もちろん例外もあって別の方法で仕上げる曲もある。

MM : レコーディングにはどれくらいの期間を要したのでしょうか?
TM : 僕のギターに関しては6ヶ月くらいかかって、残り1ヶ月でベースとドラムを録った。

MM : 前作「Concrete Gardens」に続いて今作でもアルバムのミックスはブラジルのAdair Daufembach、マスタリングはSevaが担当しています。
TM : そうなんだ。二人ともこの世界では職人の域に達しているマスターさ。彼らと一緒に仕事をして来た事によって今の成功があると言って良いと思う。だから僕は彼らの仕事を心からリスペクトしていて、Seva、Adairと僕の3人は良い作品を完成させる為に何が必要かを理解してるんだ。

MM : アルバムの収録曲について曲が生まれるまでの経緯をお聞かせ下さい。
TM : 曲が作られた時はまだタイトルは付けられていない。アイデアの状態にすぎないからね。僕にとって曲作りっていうのは自然で感覚的な行為なので、複数の曲を同時進行する事もよくあるんだ。プロダクションの途中で曲の方向性を変える事も珍しい事ではない。そしてこのCDは長い時間をかけて完成したというのもあり、一度CDに入ってしまった曲に関して、どの曲がどうして出来たかって言うのは全部覚えている訳ではないんだ。もちろん他の曲に使ったアイデアを再び使う事は絶対にやらないから俺の曲はそれぞれ個性があるんだけど、全てのトラックは同じ方法論で作られているんだ。

MM : 今回のレコーディングで使用しているギター、機材を教えて下さい。
TM : レコーディング時はエフェクター類は全く使わない。全てのギター音はHughes & KettnerのTri-ampsとCorebladesから同じくHughes & Kettnerの2x 12キャビネットに繋いである。ミックスの段階で必要なディレイや他のエフェクトをかけていく流れだ。ギターは7弦/8弦のIbanezにEMGのアクティブ・ピックアップを数種類使い分けている。その曲をプレイする為に最高のセットアップになるように心掛けている。ペダルはErnie Ballのヴォリュームとワウペダル以外は使わない。いつもシンプルなセットアップにしておくのが僕にとっては効果的なのさ!

MM : 今後の予定について教えて下さい。
TM : この「Death Of Roses」の次作が来年の頭くらいには完成する予定だから今作と次作のリリースツアーとして再びヨーロッパを廻るのを楽しみにしているよ。

MM : ファンへメッセージをお願いします。
TM : みんなの愛に感謝している、みんなの街へライブしに行くのを楽しみにしているよ。ありがとう!

Tony MacAlpine official site : http://www.tonymacalpine.com/
Tony MacAlpine facebook : http://www.facebook.com/tonymacalpineofficial
Tony MacAlpine twitter : www.twitter.com/tonymacalpine


Tony MacAlpine / Death of Roses

1. Chrome Castles
2. Electric Illusionist
3. Synthetic Serenity
4. Death of Roses
5. Axiomatic Jewels
6. Entropy
7. Shundor Prithibi