Paul Mahon (THE ANSWER)
グラミー・ノミネート経験を持つクリス・”フィンチー”・スミスによってプロデュースされた待望のスタジオ3rdアルバム「Revival」をリリースしたTHE ANSWER (ジ・アンサー)。 スリリングかつエネルギッシュなギタープレイでバンドを支えるギタリスト Paul Mahon (ポール・メイハン)に新作「Revival」について聞いてみた。
Interview / Text Mamoru Moriyama
Translation Tomoko Kikuchi
デビューアルバムである「Rise」が世界中で125,000枚以上売れる成功を収め、続く2ndアルバム「Everyday Demons」で正統派ハードロックの継承者としてのステータスと確固たる人気を確立したTHE ANSWER。 3rdアルバムとなる今回の新作「Revival」には、バンドがAC/DCとのツアーのサポートを2年間務めたことで得られた経験が、よりスケール感が増したメロディックな楽曲といった形でフィードバックされている。
バンドのギタリストであるPaul Mahon (ポール・メイハン) のプレイについてもデビューアルバム、2ndアルバムで聴くことが出来たブルースフィーリングを持ったスタイルに加え、今作ではよりダイナミックかつ80年代のギターヒーロー達が持っていた雰囲気が感じられる。 今回のインタビュー中でPaul自身も語っているように新しい自身のプレイ・スタイルの追求に向け1歩踏み出したようだ。
Muse On Muse (以下MM) : 新作「Revival」を制作するまでの間、バンドはAC/DCと18か月にも渡るツアーを行っており、その様子はライヴCD/DVD “412 DAYS OF ROCK’N’ROLL”としてリリースされています。 このツアーを通してAC/DCからは多くのことを得ることが出来たと思いますが、それらについて教えて下さい。
Paul Mahon (以下PM) : AC/DCとのツアーでは2時間でどうオーディエンスを魅了するか、ライヴでのペース配分や、あのような大きいアリーナではどのような曲でオーディエンスのリアクションが得ることができるかなどを学んだよ。
MM : アンガス・ヤングのギタープレイの存在感や彼が持つオリジナリティはハードロックのギタリスト達にとってもはや伝説的ですが、そのようなギタリストとの長期間のツアーはあなたのギタープレイや作曲といった部分に影響を与えていますか?
PM : そうだね。アンガスには常にある程度の影響を受けてきたし、彼は俺がプレイし始めたきっかけでもあった。彼がプレイする音のひとつひとつに対する彼の熱心さ、及び、パフォーマンスに向けられたすべてのエネルギーなど、彼のプレイを毎晩観ることによりいくつか学べたんだ!
MM : バンドにとって3作目のスタジオアルバムである新作「Revival」はどういったコンセプトで制作されたのでしょうか?
PM : 最初は、ただ俺たちがいつも作りたいと思っていたアルバムを作るというコンセプトで、特定のスタイルを持つ境界線を存在させることなく、みんな理想を高く持って試みていた。アルバム制作が進行していくにつれて、なんとなくテーマができてきて、ロックシーンを復活させるアルバムになるんじゃないかと思い始めたんだ。このアルバムの作曲とレコーディングの通して、THE ANSWERがどのようなバンドかわかって、さらに俺たちが音楽活動として求めているものに近づいたと思う。
MM : アルバム制作に費やした期間はどのくらいでしたか?
PM : エルパソ(テキサス州)のSonic Ranchで5週間、オースティン(テキサス州)のクリス・”フィンチー”・スミスのスタジオ”バブル”で3週間かけた。
MM : アルバムをプロデュースしているクリス・”フィンチー”・スミスと作業を行った感想は如何でしたか? 過去2枚の作品におけるアルバム制作時と今回の制作ではレコーディング作業の進め方等で何か違いはありましたか?
PM : フィンチーは素晴らしかったよ。彼は、Young Heart Attackというバンドで活動していたから、バンドとプロデューサー両方の観点からアルバム作成を理解していた。彼は新しい試みを仕向けてくれたり、曲の中で出来るだけ多くのフックを探してくれたよ。彼は、ギターも上手いので、俺にたくさんの時間をくれて、今まで一番のギターワークを作り上げるのを手伝ってくれた!さらに、彼は面白いことの大部分を持ちかけてきたから、アルバムは俺たちが楽しんでいるようなサウンドになってるはずだ!
MM : 今回のアルバムではどの曲も良い意味で一度、聴いたら頭から離れない印象的なメロディライン、フックを持つ素晴らしい曲が多いですね。 もちろん、以前のアルバムでも素晴らしい楽曲が収録されていました。 それまでのアルバムの楽曲は70年代の即興、ジャム的な手法で創りだされたような雰囲気を持っていたのですが、今回の新作ではライヴ的な雰囲気を持ちつつも、良い意味でしっかりと構成の上、十分に練り上げて創り出されたように感じられました。 今回のアルバムでは実際の曲創りはどのように行われたのでしょうか?これまでのアルバムと曲創りのアプローチに違いはありましたか?
PM : 普段のデモ作りよりも、アルバムの作曲に時間を多く費やして、スタジオに入る前に曲の細かいところまでかなり仕上げていった。フィンチーは、ボーカルやギターのフックだけでなく、ドラムのフックまでも、できるだけ多くのフックをどの曲にも探すことを手伝ってくれた。俺たちは曲の良さを十分に引き出せたと思う。
MM : 今回のアルバムはリアルでコアなハードロックファンを惹きつける従来の正統的なブルースを基盤としたハードロックは勿論継続されていますが、それ以外のカジュアルなロックファンにも広く受け入られそうな良い意味でダイナミックでキャッチーなハードロックが収録されており、これまで以上により多くのロックファンに広く受け入れられるアルバムだと感じました。 あなた自身は完成した今回のアルバムについてどのように感じていますか?
PM : このアルバムは、俺たちがいつも兆候を示し、求めていたものだと思うんだ!ポップなアピールで新しいファンを魅了できると思うし、バンドのハードエッジな面も保つことに成功したとも思う。 ポップな瞬間もあるけれど、俺たちが”Slippery When Wet”をやったとは思っていない!”Slippery When Wet”に問題があるわけではないけれどさ!
MM : 今回のアルバムにおけるあなたのギタープレイはギターリフにおけるグルーブ感や、ギターソロにおける楽曲にフィットしたメロディック、フラッシーかつブルージーといった部分が巧くブレンドされておりとても素晴らしい内容です。 前作までのあなたのプレイは即興的でブルージーな要素が多く占めていたように思いますが、今作は勿論、即興的でブルージーなプレイも健在ですが、それにプラスして80年代ハードロックのギターヒーロー達が持ち合わせていたメロディックかつスリリングでフラッシーな雰囲気もかなり感じさせられます。 あなた自身はこの点についてどう思いますか?
PM : まず最初に、そのようにまさに俺が目指してきたことを褒めてくれて本当にありがとう。 80年代に育ってきたから、俺のヒーローたちは、ミック・マーズ、ジェイク・E・リー、カーク・ハメット、ステーヴ・ヴァイ、ジョー・サトリアーニ、それとエディー・ヴァン・ヘイレンだな。ジミー・ペイジ、ポール・コゾフ、レズリー・ウエスト、エリック・クラプトン、スティヴィー・レイ・ヴォーンのようなよりブルージーな音を好むようになったのはそのあとだ。初期のTHE ANSWERは、俺の演奏にブルース・フィーリングを欲させて、人々もその音楽に反応してくれていたから、俺の方も1stアルバムと2ndアルバムにおいては、その事をより追求していたのかもしれないな。 でも、俺は常により良い表現方法も求めているから、80年代的な俺のギタープレイに、1stと2ndアルバムにおける曲に対するブルースらしさと、(80年代的な)フラッシーさをうまく融合できるようになった。たぶん、俺はギタープレイにおいて自身の声(感情表現)を探し始めているのかもしれないね。
MM : アルバムのオープニング曲である”Waster Your Years”からスケール感のあるロック・サウンドでダイナミックなギタープレイを聴かせていますが、こういったアリーナ・ロック的なスケール感はAC/DCとのツアーでの大きな会場でRockをプレイしてきた事も影響していますか?
PM : そうだな。大きなアリーナでどの曲が栄えるのか、すぐに学んだよ。コーラスの、あのような大きいオープンコードが、アリーナで栄えたよ!でも、本当に曲を目立たせるのは、まばらなヴァースからリフのコーラス前部へと、その後に完全にコーラスへ続くジャンプだ。これがどう機能するかは、毎晩”Back in Black”を観て学んだんだ!
MM : 続く”Use Me”でのギター・ソロでも聴けるように限られた小節の中で曲に非常にマ ッチした起承転結のあるプレイを聴くことが出来ます。 この曲に限らず今回のアルバムにおけるあなたのギター・ソロではライヴ的な勢いと起承転結が巧く構成された部分が絶妙にバランスされているように感じられました。 ソロはインプロヴァイズされたものでしょうか、それとも予め構成を考えてプレイしているのでしょうか? あなたのギターソロに対するアプローチ方法を教えて下さい。
PM : 想像できる全ての方法でギターソロを作曲する。いくつかのソロはインプロヴァイズして、そのあと磨きをかけたよ。例えば、”Use Me”や”Revival” “Waste Your Tears” “Trouble”は、2、3回のテイクでインプロヴァイズしたんだ。”Vida”と”Caught On The Riverbad”は頭に浮かんだもので、ギターで作曲していった。”Destroy Me” “Nowhere Freeway” “New Day Rising” “Can’t Remember, Can’t Forget”のようなソロは、同じようにレコーディングの前に作曲したよ。例えば、ソロの部分をループさせて、歌をかぶせたあと、ギターで仕上げるんだ。
MM : “Destroy Me”はクールな曲の展開、そして印象的なあなたのギターのフレーズを聴くことが出来ます。過去のTHE ANSWERのアルバムではあまり聴くことが出来なかったバンドの新たな一面を感じたのですが、あなたはこの曲に対してどのように感じていますか?
PM : そうだね、バンドとして新しい一歩を踏めたと思う。俺は、ヴァースの調性が本当に好きで、それはフリジアンドミナントみたいなものだ。曲の発展と、メロトロンをつかったオーケストラの自然さが好きなんだ。イントロを演奏するのも楽しかったよ。それはスティーヴ・ハウと、リバースリバーブなどの”Roundabout”のイントロへの敬意を表しているんだ。
MM : 曲の大きな部分を占めるのはリズム・ギターですが、あなたがギター・リフなどのリズムギターのパートを創る上で、バンドのアンサンブル面を踏まえて注意し心がけていることは何でしょうか?
PM : 最初にクールなリフとリズムを探して、たまにそれが自然と発展していくんだ。このアルバムでやりはじめたことは、リフかコード進行のうえに歌のメロディーをかぶせるということなんだ。 最終的なボーカルとは何も関わりがないかもしれないけれど、そうやることによってリフを一つの曲として発展させることができて、もっと面白く、リフのコレクションのように聞こえないようにできる。 俺はドラムをプレイしていたこともあって、デモレベルのレコーディングやエンジニアリングもしていたから、構成を組み立てたときにもっと大きなアンサンブルを考えるんだ。”Can’t Remember, Can’t Forget”や”Nowhere Freeway” “Trouble”のような曲はこの方法を使ったんだ。そして、あとはコーマックが手を加えるだけで、最後に俺たち全員で少しだけ再アレンジをする。他の曲では、誰かが曲の種類によってオーバー・ダブを提案して、”Vida”の最初や”Lights Are Down”のヴァースのように、スタジオでクールな発見があることがあるよ。
MM : 今回のアルバムでもハードでダイナミックな素晴らしいあなたのギターサウンドを聴くことができますが、ギターサウンドメイキングに対するあなたのコンセプトや工夫している点について教えて下さい。
PM : かなりシンプルに始めるよ。レスポールとマーシャル、ソロのためのオーバードライブ、ディレイ、フェイザーとワウだけだよ。それが俺の標準だ。これらのコンビネーションはたくさんの可能性があるけれど、俺が最初にやることは、クールなリズム音をつかむこと。 AC/DCと似ているけれど少しだけ泥臭くやるんだ。 このアルバムでは、フィンチーが彼のギター秘術の知識を生かして、ボリュームペダルやディレイについてもっと詳しく教えてくれたんだ。そのおかげで、アルバム全体にタッチはあるけれど、特に”Vida”や”Destroy Me” “Lights Are Down”のようなユニークな音を作り上げることができた。
MM : 今回のアルバムであなたが使用したギター、アンプ、エフェクターを教えて下さい。
PM : Sonic Ranchは素晴らしいセレクションがあったから、このアルバムではギターとアンプがすごい豪華だったよ。 メインのアンプは、soldanoヘッドで、モデルはわからないけどウォーレン・ヘイズが使っているものに似てた。 あとは、小さいwatkins dominatorと、Fenderのharvard、MarshallのPlexi、VoxのAC30、Mesa Boogie Dual Rec、Bogner uberschall。ギターソロの90%は、フィンチーのMarshallのBluesbreakerコンボとklon centaur overdriveを使った。ギターについては、俺はレスポール2本と、ビリー・ギブソンが持っていたギブソンフューチュラ、スティーヴィー・レイ・ヴォーンが持っていたフェンダーのエスクワイヤー、70年代のストラト、それと美しい335を使った。Frenchieは、チョコレートチェリーとチェリーチェリーの名付けたVOSレスポール2本と、グレッチを持っていて、俺も何回も使わせてもらったよ。信頼しているボスのDD3と、EVHフェイザー、Crybabyワウ、Vintage Flangerを使って、ボリュームペダルで構成された音を作ることを試した。
MM : あなたが使用しているギターの弦のメーカー、種類、ゲージや、使用しているピックの種類、硬さを教えて下さい。
PM : 弦はアーニーボールで、ゲージはチューニングによってかえるよ。Drop DやOpen Gだったら、11-52で、通常のチューニングだったら、11-48を使う。ピックはダンロップのtortex 1mmを使う。JazzIIIも試したけど、俺がステージで走り回る時に手の中で動きすぎたよ!
MM : 今後のバンドの活動予定を教えて下さい。
PM : アルバムが10月に発売されて、来年はたくさんのツアーを行う予定だ。
MM : 日本のファンへメッセージをお願いします。
PM : 何年間も俺たちをサポートしてくれて本当にありがとう。新譜も待っていてくれてありがとう。みんな気に入ってくれるといいな!日本は素晴らしい料理と、スタイルと文化を持っていて、俺たちのハートに近い国なんだ!それと最高のバイクだ!!さらに日本の音楽ファンたちは、世界で最も精通していて、熱心だ!俺たちは、災害の時日本のみんなのことを想っていたし、日本に愛と援助を届けたい。何らかの方法で、力になれればと思うし、近いうちに日本でまたプレイできることを楽しみにしているよ!アリガト!!!!
412 DAYS OF ROCK N ROLL / THE ANSWER
DVD
01) TONIGHT (live in Houston)
02) ON & ON (live in Houston)
03) DEMON EYES (live in Dallas)
04) TOO FAR GONE (live in Dallas)
05) COMFORT ZONE (live in Dallas)
06) COME FOLLOW ME (live in Belfast)
07) WALKIN’ MAT (live in Belfast)
08) UNDER THE SKY (live in Belfast)
09) PREACHIN’ (live in Belfast)
CD
01) TONIGHT (live in Houston)
02) ON & ON (live in Houston)
03) DEMON EYES (live in Dallas)
04) TOO FAR GONE (live in Dallas)
05) COMFORT ZONE (live in Dallas)
06) COME FOLLOW ME (live in Belfast)
07) WALKIN’ MAT (live in Belfast)
08) UNDER THE SKY (live in Belfast)
09) PREACHIN’ (live in Belfast)
10) KEEP BELIEVIN'(live in Belfast)
11) WHY’D YOU CHANGE YOUR MIND (live in Belfast)
10) ROCK ‘N’ ROLL OUTLAW
11) FOOLED ME (Demo)
The Promo videos:
Keep Believin
Never Too Late
Under the Sky
Come Follow Me
Be What You Want
On And On
Tonight
Comfort Zone
Rock n Roll Outlaw
REVIVAL / THE ANSWER
01) Waste Your Years
02) Use Me
03) Trouble
04) Nowhere Freeway
05) Tornado
06) Vida (I Want You)
07) Caught On The Riverbed
08) Destroy Me
09) New day Rising
10) Can’t Remember, Can’t Forget
11) One More Revival
12) Lights Are Down
13) Piece By Piece (ボーナストラック)
14) Faith Gone Down(ボーナストラック)