Stevie Salas
B’zの稲葉浩志とスティーヴィー・サラスによるプロジェクト INABA/SALAS は、オリジナル・スタジオ・アルバム「CHUBBY GROOVE」にてそのオリジナリティ溢れる豊かな音楽性を提示するとともに、日本縦断の”CHUBBY GROOVE TOUR 2017″ では多くのファンを熱狂させ、ロックスターとしての凄さをあらためて証明した。今回のプロジェクトによりこれまで以上に多くの国内音楽ファンに知られることとなったスティーヴィーは、1990年にアルバム「スティーヴィー・サラス・カラーコード」でデビュー。ファンク、サイケ、ハードロックが融合したような自由奔放な独自のスタイルで当時のロックファンに衝撃を与えた。自身の活動以外にもミック・ジャガー、ロッド・スチュワートをはじめとした数多くのアーティストのツアー、アルバムに参加、また、米国で人気を誇っていたテレビ番組『アメリカン・アイドル』の優勝者とレコード会社等の間を取り持つ仕事も手掛けたことでアイドル・メーカーとも呼ばれている。
INABA/SALASにおけるアルバム、ツアーに関することから自身が深く携わっているという映画「RUMBLE」に至るまでスティーヴィーに話を訊いた。
Interview / Text Mamoru Moriyama
Translation Louis Sesto (EAGLETAIL MUSIC)
– INABA/SALASのツアーについて –
Muse On Muse (以下MM) : INABA/SALASで各地を回ってのショーは如何でしたか?
スティーヴィー・サラス (以下SS) : いつものように日本をツアーするのは最高に楽しかったよ!日本のファンはともかく素晴らしい。それは日本のどの都市へ行っても同じように思ったことだ。
MM : あなたのギターもライヴならではのワイルドに熱くロックしていましたね。
SS : ありがとう!自分としてはいつも通りのことをやっていただけだよ!FramusのIdolmakerギターとLAA Customのアンプが大きな手助けをしてくれたんだ!
MM : アルバム「CHUBBY GROOVE」の完成後、今回のツアーに向けての準備はどのように進められたのでしょうか?
SS : 準備なんて何もしていないよ!ツアーの直前はハワイでサーフィングをしていたよ!自分の人生、そしてライフスタイルのために準備をしているだけ。そこにロックンロールがぴったりとはまる訳だ!
MM : ショーを構成するにあたりセットリストの選曲、曲順はどのようにして決められたのでしょうか?
SS : まず「一緒に書いた曲は全てプレイしよう」とKoshiが言ってくれたのさ。それと、以前にギターで参加した彼の曲”マイミライ”をプレイしたいと自分から申し出た。KoshiはDavid Bowieの”Moonage Daydream”をやりたいと言ったのでそれもセットに入れた。更にKoshiと一緒に歌った「Jam Power」に入っている”Police On My Back” もセットに追加した。
MM : 1か月に渡るツアーでしたが、ショーが行われない日は皆さんどのように過ごしましたか?
SS : 昔だったら大暴れしていただろうね!でも、今回はおとなしくしていたよ。今回のライヴにはエネルギーが必要だったからね。ともかく体を休めることが重要だった。もう若くないってことだよ!!
– アルバム「CHUBBY GROOVE」について –
MM : 少々前の話となりますが、Inaba/Salasのアルバム「CHUBBY GROOVE」についてお聞かせ下さい。アルバムに収録されている曲はあなたと稲葉さんによる共作ですが、曲作りはどのように進められたのでしょうか?
SS : 曲は全てKoshiと一緒に書いた。コンセプトがあって、それはリスナーが聴いて踊れるような楽曲を作りたいというものだった。作曲は日本、ハワイ、ナッシュビルで一緒に行った。オリジナルのINABA/SALASサウンドを作りたかった訳だ。
MM : “AISHI-AISARE”などはJ-POP音楽のファンを瞬時に引き付けるキャッチーさが秀逸です。アルバムにおいても全体的にスティーヴィー・サラスらしさを随所で感じさせつつも日本の音楽ファンが気に入るであろうキャッチーさのツボが見事に押さえられています。それらについては事前に研究したのでしょうか?
SS : この楽曲のメロディと演奏部分は何年も前に書いたものだった。でも、Koshiがこの曲を歌うまで、誰も耳を傾けてくれなかったのさ。彼は楽曲に命を吹き込むような特別な歌声を持っているよ。とても素晴らしいシンガーだね。
MM : アルバムのブックレットではプリプロダクション・プログラミングにHideyuki Terachi(寺地秀行)さんがクレジットされていますが、作品作りのプロセスにおいてどのような役割を果たしているのでしょうか?
SS : 彼とはギターとキーボードだけを使って会話をしながら様々なアイディアを試して独自のサウンドを追求した。彼は細かい全ての要素まで関わっていたよ。
MM : Additional GuitarとしてNard Berings、Tim Palmer、Federico Mirandaの名前もクレジットされています。ギタリストであるあなたが彼らのギターも作品に取り入れようと考えたのはなぜでしょうか?
SS : 自分にとって最も大切なのは楽曲を最高の形に仕上げることだ。それを得るために自分よりも適した人がいるのであれば、それは自分にとっても望ましいこと。自分のエゴなんて重要じゃないのさ。大切なのは素晴らしい芸術を作れるかどうかということだ。
MM : スティーヴィー・サラスのファンはあなたの熱いギターソロが炸裂することも期待していたと思いますが、今回の作品ではそういった部分よりも楽曲の魅力を惹きたてるクールでグルーヴ感たっぷりのギターリフ、ギター・サウンドが優先されています。ギターに関しては今回どういった考えで取り組みましたか?
SS : ギター・プレイに関しては特にコンセプトというものはなかった。曲を書いている段階で頭の中ではギターソロがあまり聴こえてこなかったのさ。だから見せびらかすためだけにギターソロを入れようとは思わなかった訳だ。自分にとって持っても大切なのは「楽曲にとって何がベストか」ということだ!
MM : 作品のラストを飾り、土着的なコーラスで始まる”TROPHY”は非常にインパクトがありますがこの曲について説明下さい。
SS : 俺はネイティヴ・インディアン(アメリカ先住民族)であり、Koshiはネイティヴ・インディアンの文化にとても大きな感心を持ってくれている。この曲は実際にインディアンの保留地に行ってレコーディングを行った。この独特なコーラスを観客が大声で一緒に歌ってくれるのを夢見ていたので、日本のツアーで毎晩のようにお客さんが一緒に歌ってくれたのは心の底から嬉しかった!バンドとお客さんが一体となって戦士の歌を歌っているようだった。
MM : アルバムや今回のツアーで使用したギター、アンプ、ペダル類について教えて下さい。
SS : 自分のLAA Custom Nishi DriveとDunlop Cry Babyのワウペダル以外は殆どスタジオにあったものを使用した。古いFenderのアンプやLAA Customのアンプも使ったし、Diamond Amps、Bogner、それに日本のShinosというアンプも使ったよ。ギターも色々と弾いたよ。Tak Matsumotoシグネチャー・レスポールも使ったけど、殆どは自分のシグネチャー・モデルであるFramusのIdolmakerを使った。
– Stevie Salasについて –
MM : あなたは多くのミュージシャン達を成功に導くアイドルメーカーとしても知られています。アイドルメーカー(プロデュース)の観点から、日本のロック・ミュージックについてあなたはどのように感じていますか?
SS : 日本のミュージシャンにはアメリカのミュージシャンには無い創作の自由があると思っているよ。将来的にはもっと多くの日本のバンドをプロデュースしてみたいね!
MM : 日本国内で活躍している優れたミュージシャン達が世界を相手に活躍するために必要なことは何だと考えますか?
SS : どこの国で活動していても、成功するために必要なのは同じもの・・・良い楽曲だ!
MM : 例えば歌詞については日本では英語が分からなくとも洋楽を愛する音楽ファンも多いのですが、世界を視野に入れた場合、歌詞については日本語、英語のどちらで挑んだ方がいいですか?
SS : 全世界で成功するには本来は英語の方が良いとは思うよ。より多くの国が英語の曲をプレイしているからね。でも、アーティストは自分が本当に好きだと思っていることをやるべきだ。言語等、気にしすぎないことだ。
MM : あなたが関わっている映画「Rumble: The Indians Who Rocked the World 」が公開されましたが、この映画について説明下さい。
SS : 私は「Rumble」の共同クリエイターであり、エグゼクティブ・プロデューサーでもある。これはとても重要なアメリカの歴史だ。アメリカのポップ・ミュージックの歴史、そしてそのジャンルにおけるネイティヴ・インディアンの役割を教えてくれる映画だ。
MM : この映画は日本でも公開されるのでしょうか?
SS : じきに公開されることとなるだろう!
MM : ファンへのメッセージをお願いします。
SS : 日本の皆さん、いつも私に力、そして自信を与えてくれてありがとう!
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CHUBBY GROOVE : INABA/SALAS
初回限定盤 CD+DVD BMCV-8050 ¥3,700+tax Vermillion Records
通常盤 CD BMCV-8051 ¥2,800+tax Vermillion Records
01. SAYONARA RIVER
02. OVERDRIVE
03. WABISABI
04. AISHI-AISARE
05. シラセ
06. ERROR MESSAGE
07. NISHI-HIGASHI
08. 苦悩の果てのそれも答えのひとつ
09. MARIE
10. BLINK
11. MY HEART YOUR HEART
12. TROPHY