Philip Sayce
Philip Sayce (フィリップ・セイス) は熱くパワフルなギタープレイが持前のカナダ出身のロック、ブルーズ・ギタリスト。
そんなハードで熱いロック、ブルースギターを弾き出すフィリップによる今回の音楽コラムではピッキングとリズムのコンビネーションをテーマに熱いギタープレイで魅せてくれます。
前回は、僕のヴィヴラート奏法を紹介することができた。みんなが楽しんでくれて、ギタリスト&ミュージシャンとしての道を歩む上での役に立つといいな。
今回は、ピッキングと右手のリズムについての僕の個人的な意見とテクニックを紹介しよう。僕は、ピックと指を使って弾くんだ。たまにピックと指を同時に、大体はどちらかひとつ。その時の気分や、曲に何を求めるか次第だけどね。レガートフレージングに魅了されてきたから、フレーズではなくて、ひとつひとつの音を弾くのは、早くても遅くても、追求してこなかった。個人的に好んでいるのは、ホルンや管楽器の音を真似するようなピッキング・プルオフ・ハンマリング・スラー・ベンディングの組み合わせや、弦の下から弦をはじく、アルバート・コリンズとスティーヴィー・レイ・ヴォーンのようなギタリストがよく使う技術だ。正確にひとつひとつの音をつなげて弾く素晴らしいプレーヤーもいるけれど、独特で意図されていない即興のパッセージが、僕が普段取り組んでいるギター奏法なんだ。
<Rhythm Picking>
僕にとって、リズムは全ての演奏の柱なんだ。ピッキングの感覚はもちろんプレイするその人自身の内に秘められたリズムに直接つながっていて、音楽は楽器を通してプレーヤーの内から出てくる。
Ex-1は、どうやってオープンコードを鳴らすのか、そして、低い音のために親指を使いながらどうやって右手の全ての指で弦をかき鳴らすのかを実際にプレイしている。自由な節だけれども、これは僕のお気に入りの多くのミュージシャンたち(ギタリスト、ドラマー、ピアノプレーヤーなど、メロディーとリズムのセンスに優れたミュージシャンなら誰でも)からの直接影響を受けた例だ。
Ex-2は、スティービー・レイ・ヴォーンやジミ・ヘンドリックスから直接影響を受けたことや、フラメンコスタイルのような打楽器のテクニックだ。連続リズムとリードスタイルの演奏だ。あまり力をいれないでベース音を弾き、高音パートは力を入れてみたりしている。その順番を逆にして試してみると、また違った効果と雰囲気が生まれるよ。コードをミュートした状態で、弦をかき鳴らすことも大好きだ。ワウワウやミュートロンを使って、ファンキーな音を作ろう!
<Fingers>
マーク・ノップラーは、僕の一番最初のギターヒーローだった。僕は、彼が指でユニークかつ魅惑的な方法で演奏するところしか見たことがない。指弾きによって、個性とユニークなトーンを自分の演奏の中でつかむことの重要性は強調してもしきれないよ!アルバート・コリンズは、もう一人の僕のお気に入りである指弾きしかしないプレーヤーで、彼のパワーは君を真っ二つに切ってしまうほどだよ!
<Pick & Fingers, Rhythm & Lead>
スティーヴィー・レイ・ヴォーンから、初めてこの技術を学んだんだ。ピックで演奏するだけでは得られなかった、表現力と特徴を僕の演奏に加えることができた。それは、特定の旋律を目立たせるんだ。僕はいつもこの技術をつかったプレーヤーの演奏を聞く度に深く感動していたよ。そのような旋律は、異なった響き方をし、なぜか中間で感情的になり、僕には個性と深みと力の感覚が加わるような気がするんだ。これは、僕がどうピックと指をいっしょに使うかの例だ。高音のEと、特定の旋律が目立ってくるのを聴いてほしい。Example 2に出て来たような、リズムやリード方法がこの中にも入っていて、リズムを楽しみながら曲の中で自由に弾いているんだ。
このコラムが刺激的で君達の役に立ち、そして、何か新しいものを君のプレイに加えられるといいな。ルールは無い!ということを覚えていて欲しい。ただ君が感じること、君の内側から出てくるものをプレイするんだ。そして何より、君の音楽を楽しむことだよ!
このコラムを読み、そしてビデオを見てくれてありがとう。
Philip
Translation by Tomoko Kikuchi