Vol.62 THE JELLY JAM / July 2016

THE JELLY JAM

KING’S Xのタイ・テイバー、WINGER/THE DIXIE DREGSのロッド・モーゲンスタイン、DREAM THEATERのジョン・マイアングの名うてのミュージシャンによるトリオ編成のロック・プロジェクト THE JELLY JAMが通算4作目となる作品「PROFIT」をリリースした。
今作は人類が直面する資源問題をテーマに扱ったコンセプト・アルバムとなっており、彼等のその素晴らしい音楽的才能、テクニックにより物語が求める世界・雰囲気を見事に表現しきった作品となっている。
物語の展開とともに重厚で美しく、幻想的な音世界が体験できる傑作「PROFIT」についてタイ・テイバー、ジョン・マイアングの二人に訊いた。


Interview / Text  Mamoru Moriyama

Translation         Louis Sesto (EAGLETAIL MUSIC)

 

Muse On Muse (以下MM) : THE JELLY JAMの新作「PROFIT」は今の世界について考えさせられる深い意味を持ったコンセプトアルバムとなっていますが、アルバムで展開される物語についてお聞かせ下さい。
Ty Tabor (以下TT) : 映画を観ているような雰囲気を想像してほしい。ゆっくり座って物語と歌詞を追いながら1枚のアルバム作品を最後まで聴いてもらいたいという気持ちで作っている。物語に関しては・・・善と悪との戦いをテーマにしているが、よくある典型的ハリウッド系映画とは訳が違う。映画では決してあり得ないようなエンディングになっている。自分の中では「現実」に近いようなエンディングだ。

John Myung (以下JM) : この物語の主人公は預言者(Prophet)で、彼の使命はこの星を救うことだ。ストーリーそのものはフィクションだが、現代の様々な問題を取り上げていることから、隠喩的な意味で物語はフィクションを抜け出して現実の世界で起こっているノンフィクションとして考えてもおかしくない物語だ。様々な問題の中でも環境問題は大きく取り上げられている。

MM : これら物語の構成や具体的な曲作りにはどのくらいの期間を要し、どのように準備が進められたのでしょうか? 詳細なプロセスについて教えて下さい。
TT : 物語と歌詞を作るのに1年ほどかかったよ。実際のプロダクション(制作)に関しては、なるべくオーガニックな結果を念頭にレコーディング作業を進めた。正しく聴こえるまで作業を続けただけだ。制作や準備をするにあたって、特に決まったルールは設けていない。それぞれの楽曲そのものがレコーディングやミックス作業を左右する。なるべく自然の流れに沿ってレコーディングをするように心掛けている。

JM : 制作準備に関しては、まず2週間かけてアイディアを色々と録音したり、そのアイディアを曲の構成にどのようにして取り入れるかを考えるのさ。十分なマテリアルが揃うように今回は以前とは少し異なるやり方で2回のセッションに分けて作業を進めた。そしてセッションが終わるとTyはレコーディングした全てのマテリアルにいくつものステップを重ねて更に完璧なものに仕上げてくれる。それはギター・パートのみならず、歌詞や歌、サウンド・プロダクションまで全てだ!

MM : 名うての実力派ミュージシャンが集ったTHE JELLY JAMですが、今作では各自が持つその素晴らしい才能・テクニックを派手に披露するのではなく、良い意味で楽曲が求める世界・雰囲気作りに徹しているように感じられました。
JM : 勿論、それは狙っていることでもあるよ。最初に感じた曲の雰囲気やエネルギーを忠実に捉えながら、メロディラインをしっかりとサポートして完璧な楽曲を作ることに徹している。

MM : アルバムはトリオ編成の枠を超えたとても美しく幻想的なアレンジ、サウンドとなっています。リズムセクションとしてアレンジ、サウンド面において今作ではどういった点を心掛けたのでしょうか?
JM : ありがとう!そう言ってもらえるのは嬉しいね!”Water”、”Perfect Lines”、そして”Strong Belief”ではMoogのタウラス・ペダルを使うことによって、低音のハーモニーを加えて楽曲に更なる音域とパワーを与えることができた。あの効果はとても好きだよ。アレンジ面に関して言えば、重要なのはTyが頭の中で描いているメロディを守りながら曲中の各パートからパートへ移行する部分をどのようにして仕上げていくかだ。これは最初に取りかかる作業で、Tyの中でメロディの流れが明確になるまで、様々なアプローチを試していくようにしている。

MM : 曲におけるベースのフレーズ作り、ドラムやギターとのリズム面でのコンビネーションといった部分でのアプローチ方法について詳細を教えて下さい。
JM : ベースのアプローチとしては通常ドラムのフィーリングに合わせることが多い。ベースのフレーズをどのようにして組み立てるかはレコーディング中に自分がどのようにベースパートを解釈するかによって変わることもあるよ。無意識に弾いてしまったフレーズでも、それが楽曲に合っていればそのフレーズをキープすることもある。逆に”Water”や”Perfect Lines”のような曲ではタウラス・ペダルを使ってベースとハーモニーを演奏することで、より実験的な要素とアプローチが多かったと言える。

MM : バッキングのギターでは豊かなコードワーク、クリーンと歪の音の使い分け、そして隠し味的にギターが重ねられるなど、作品が求める世界感が見事に表現されています。
TT : ありがとう!

MM : ギター・ソロでは”Water”や”Perfect Lines(Flyin’)”などをはじめ、コンパクトながらもとてもメロディックで印象的なラインを持つものや、一方でインプロヴァイズ感を持つ”Permanent Hold”、”Mr.Man”なども聴くことができます。あなたのギター・ソロに対するアプローチ方法をお聞かせ下さい。
TT : メロディックなソロにするか、インプロヴァイズされたソロにするかは楽曲次第だ。自分にとって良く聴こえるものを選ぶようにしている。オーガニックな感じで楽曲に反応できるように、事前にどのように弾くかは決めないようにしているよ。ソロをレコーディングする時は通常2テイク以上は録らない。それ以上やると、色々と考え過ぎてしまって、結果的に弾いている内容を気に入らなくなってしまうのさ。ソロは時間をかけずに自然発生的な感じで弾くことが多いという訳だ。決まったメロディが必要だと思った場合も、時間をかけないようにしている。煮詰まってしまった時はレコーディングを中断して休憩を取ってから、また新鮮な気持ちでスタジオに戻るようにしている。たった数時間、スタジオを離れるだけでも大きな違いだ。新しい楽曲の制作に取り組んでいる際、その楽曲が新鮮に聴こえているのは2〜3回。それ以上聴くと耳が慣れてしまい、その新鮮さがなくなってしまう。楽曲がまだ新鮮に聴こえるその瞬間こそが、その楽曲の様々な重要な判断をする時だと私は思っている。第一印象が正しいことが多いと私は思っているよ。最初に感じた自分の素直な反応を信じるようにしている。そういった直感から、ソロを自然発生的なものにするか、メロディを基にするべきか、明確な判断ができると思っているよ。

MM : ファンへのメッセージをお願いします。
JM : THE JELLY JAMは4枚目のアルバム「PROFIT」をリリースしました。できるだけ多くの人たちに聴いてもらいたいと思っています。自分たちがこの作品をとても気に入っているように、みんなにも気に入ってもらえたら嬉しいです。いつも応援してくれて本当にありがとう!
 
THE JELLY JAM official site : http://www.thejellyjam.com/
THE JELLY JAM facebook : https://www.facebook.com/TheJellyJam/

 

 


PROFIT / THE JELLY JAM
http://www.mascotlabelgroup.com/

01.Care
02.Stain On The Sun
03.Water
04.Stop
05.Perfect Lines (Flyin’)
06.Mr. Man
07.Memphis
08.Ghost Town
09.Heaven
10.Permanent Hold
11.Fallen
12.Strong Belief

[THE JELLY JAM]
Ty Tabor (King’s X)
Rod Morgenstein (the Dixie Dregs, Winger)
John Myung (Dream Theater)