Vol.3 Joey Tempest (EUROPE) / September 2011

Joey Tempest (EUROPE)

再結成後のライヴ作品としては3作目となる「LIVE AT SHEPHERD’S BUSH, LONDON」をリリースするEUROPE。 フロントマン、メインソングライターとしてバンドを牽引し続けているJoey Tempest (ジョーイ・テンペスト) に今回リリースされる作品について語って貰った。

 

Interview / Text    Mamoru Moriyama
Translation           Tomoko Kikuchi

再結成後のライヴ作品としては3作目となる「LIVE AT SHEPHERD’S BUSH, LONDON」をリリースするEUROPE。
80年代にはアルバム「THE FINAL COUNTDOWN」が650万枚の売上を記録するなど大成功を収めたEUROPEであったが、アルバムのポップ志向化に懸念を抱いたギタリストのジョン・ノーラムが脱退。バンドは新しいギタリストにキー・マルセロを迎え「OUT OF THIS WORLD」、「PRISONERS IN PARADISE」と完成度の高いロック・アルバムをリリースしたが、事実上の活動停止状態となる。

1999年12月31日のミレニアムライヴで久々にバンドは一度限りのステージに立った。その後、2004年にはJohn Norumが復帰し再結成アルバム「START FROM THE DARK」を発表。再結成したEUROPEのヘヴィで若干ダークな雰囲気を放つ音楽性は80年代からのファンに驚きと戸惑いを与えた。しかしながら、EUROPEは決して80年代の自らの音楽を焼き直しする事なく、続く2006年には「SECRET SOCIETY」、そして2009年に「LAST LOOK AT EDEN」と再結成後のEUROPEサウンドを突き進めた。当初は戸惑いを感じていた80年代からのファンも次第にハードでヘヴィなサウンドの中にも引き継がれているキャッチーで美しいメロディックな歌の良さを認識するとともに、特に母国スウェーデンなどでは新しい世代にもファンが拡がり、今や新生EUROPEサウンドが確立された感がある。
今回はフロントマン、メインソングライターとしてバンドを牽引し続けているJoey Tempestに作品について語って貰った。


 

Muse On Muse (以下MM) : 今回リリースされる”LIVE!AT SHEPHERD’S BUSH,LONDON”は再結成後のバンドのライヴ作品としては”LIVE FROM THE DARK”、”ALMOST UNPLUGGED”に続く3作目となります。  今回新たにライヴ作品をリリースすることになった経緯をお聞かせ下さい。
Joey Tempest (以下JT) : 前作のDVD以降、たくさんのライヴをやってきて、バンドとして成長していると感じたんだ。かなりいい仕事ができていたし、今がその機会だと思ったんだ。

MM : ライヴの収録地にロンドンを選んだ理由について教えて下さい。
JT : 他の選択肢もあって、ワルシャワ(ポーランド)もその一つだった。結局、自然にロンドンになったんだ。ロックな都市であり、ロンドンのことは良く知ってもいる。たまたまそうなったんだ。

MM : 収録当日の状況は如何でしたか?あなたたちは既にこれまでにもライヴ作品をリリースしているのでライヴ収録当日もバンドは自然体でライヴに挑めたかと思いますが、実際はどうでしたか? 何か収録当日のエピソード等はありますか?
JT : 収録があるような日はとてもハードで集中した状態になる。15台のカメラを使うから、雰囲気ができあがるよ。重要なライヴだとわかっているし、たくさんの経験を積んできたすばらしいバンドだから、かなりいいライヴになったよ。

MM : 今回のライヴ作品におけるセットリストはどういったコンセプトで選んだのでしょうか?  あなたたちのように数多くのヒット曲を持ち、かつ再結成後のスタジオ作品でも素晴らしい曲を作り続けているので、それらの中からライヴでプレイする曲をバランス良く選択することはかなり難しかったのでは無いでしょうか?
JT : 前作のDVDとは少し違う内容にしたくて、いくつかのサプライズも入れたよ。  新曲のDOGHOUSEや、ノーラムによるゲイリー・ムーアへのトリビュートとかね。もちろん古い作品も選んだ。  数年後に次のDVDを作るときは、ヒット曲がもうセットリストに入ってないかもしれないけど、それは誰にもわからないな。

MM : 今回のツアーを行う際にバンドが予めリハーサルでツアー用に準備する曲は何曲程度ですか?  ツアー時のセットリストは毎回、ライヴ当日に決定しているのでしょうか?
JT : セットリストはいつもライヴ当日に決めるんだ。たまに、ライヴの数分前だったりもするよ。クルーは前もって準備したいだろうから大変だと思うけど、俺達のやり方でやりたいからさ。

MM : 再結成後、2006年にライヴ作品”LIVE FROM THE DARK”をリリースしていますが、それからおおよそ5年経過しています。当時のバンドの状態と比べて現在のバンドの状態はより強固になっているかと思いますが、あなたはどのように感じていますか?
JT : 確かにバンドは強化された。いつも俺が言っているように、いつかこのバンドは何か特別なレベルに達するよ。

MM : あなたたちが再結成しアルバム”Start from the Dark”をリリースした当時、80年代の再現を期待していた80年代からのファンはあなたたちのヘヴィで硬派な楽曲に初めは正直戸惑いを感じているように見受けられました。 しかし、その後の”Secret Society”や”Last Look At Eden”といった作品を通して再結成後のあなたたちの新たな音楽の素晴らしさは80年代からのファンにも理解され、受け入られると共に、今や新しい世代にもあなたたちのファンが広がっています。  実際に今回のライヴを聴くと再結成後の楽曲は、それ以前の楽曲と比べても遜色なく素晴らしくどれもライヴ映えするものです。  これらのことについてあなたはどのように感じていますか?
JT : 長い道のりだったよ。  難しい方法で物事をこなしてきた。  でも、今ではファンがついてきてくれているようだし、俺たちの新しいスタートを受け入れてくれたから、いつも限界を伸ばしたいと思っているんだ。  でも、まだ終わりじゃないよ。 次のアルバムも待っていてほしいな。

MM : バンドが持つヒット曲はライヴのセットリストから外せないと思いますが、それら曲の中には既に何百回、何千回とプレイしている曲もあるかと思います。  それらをプレイする上で常に新鮮な気持ちでプレイできるように工夫や心がけていることはありますか?  例えば”SUPERSTITIOUS”、”Rock The Night”などは80年代当時のツアーでは、ほぼアルバム通りの演奏でしたが近年のライヴでは変化を持たせていますよね。
JT : 少しずつインプロヴァイズを入れているから、飽きる事はないよ。  これだけ多くのライヴをやってきているから、何かしらそういう事もできるよ。

MM : ライヴはアルバム”LAST LOOK AT EDEN”に収録されているオープニング曲の”Prelude”のシンフォニックな導入部から始まりますが、この導入部はライヴでも実に効果的です。 “LAST LOOK AT EDEN”のアルバム制作時からライヴでのオープニングを意識していたのでしょうか?
JT : その曲はレコーディングの最終段階で、ミキシングを始めた時に、オープニング曲として使おうと決めたんだ。  だから、制作時点ではライヴのオープニングにふさわしい曲かどうかはわかっていなかったよ。

MM : 今回の作品にはゲイリー・ムーアの”The Loner”が収録されていますが、ゲイリーのギタープレイや音楽はジョン・ノーラムを通してバンドの音楽にも影響を与えていますか?
JT : ジョンはいつもゲイリーのレコードをかけて俺に聴かせていたよ。  俺は、ソングライターとしても彼のことが好きなんだ。  彼は、いい曲を書いてきたし、確かに俺たちの曲にも影響を与えている。アルバム”Wings of Tomorrow”に収録されている”Treated Bad Again”は、明らかにゲイリーの影響だよ。

MM : あなたは今回の作品でも相変わらず素晴らしい歌声を披露しています。ボーカリストとして素晴らしい歌声をキープし続けるための秘訣は?
JT : ボーカリストが歌声をキープするためには、たった一つだけ守らなければいけないことがある。ライヴの前には、アルコールを飲んではいけない! ライヴのあとは…別の話だけどね。

MM : ツアー中やレコーディングなどボーカリストは喉や体調の管理に細心の注意を払っているかと思いますが、そういったコンディション管理をあなたはどのように行っているのでしょうか?  またライヴ当日の喉のウォーミングアップはどのように行っていますか?
JT : 睡眠をしっかり採るようにして、酒でつけたカラ元気をできるだけ避けることだなぁ。

MM : ライヴではあなたもギターをプレイしていますが、曲作りにおいてギターのリフや、ギターソロパートのメロディについても、あなたが手掛けているものはありますか?
JT : 最近では、ほとんどギターで作曲をしている。  たまにギター・ソロのメロディーラインを作ることもあるよ。  ノーラムが気に入れば、それを使うし。  でも、彼は本当にナチュラルでセンスがあるギタリストだから、彼がいつも曲に相応しいソロをつくるよ。

MM : 曲作りはツアー中も行っているのでしょうか?
JT : ツアーと作曲は別々にやる事にしているんだ。  歌詞のアイディアや、1つか2つぐらいのリフはツアー中に思いつく。でも、いつもツアーの後に作曲モードになるんだ。  ロンドンのリハーサル場所に閉じこもって、何回聴いても気に入るようなものが出来るまで何日も作業を続ける。そして、そうやって出来た曲を他の人にも聴いてもらい、気に入ってもらえたらチャンスだ。  そういったやり方か、もしくはストックホルムでバンドとジャムってみんなでアイディアを出し合うこともする。”Only Young Twice”や、”Run With The Angels”はその方法で作ったよ。俺はこれらの曲をとても気に入っている。

MM : あなたはデビューして以来、現在までにソングライターとしても常に素晴らしい曲を作り続けていますが、それらイマジネーションを維持し続けている秘訣は何でしょうか。  あなたのように常にクリエイティヴであり続ける為には何が必要だと思いますか?
JT : (さっきも触れたけど) リハーサル場所にこもって、何回聴いても気に入るようなものが出来るまで、何日も作業を続けるんだ。そして、出来上がった曲を他の人にも聴いてもらい、気に入ってもらえたらチャンスだよ。

MM : 再結成以前にリリースされていたライヴ作品で、現在はリリースされていない”EUROPE IN AMERICA”や”Perfect Live 1987″といった作品は再リリースしないのでしょうか?
JT : 再リリースはしないと思うな。今はBook/CD/DVD “Live Look At Eden”やDVD “Live at Shepherds Bush”といった作品があるから、これらを楽しんでほしいね。

MM : 今後バンドは2012年4月にリリース予定の次作のレコーディングに入りますが、アルバムのコンセプトや方向性は既に決まっているのでしょうか?
JT : 次はまた何か違った作品になると思うよ。俺たちはファンに常に注目してもらいたいんだ。いつも言っていることだけれど、俺たちは、ものすごくストレートな”Rock”アルバムを作らなくてはならない。それは確実に、情熱的な作品になるよ。

MM : あなた方は次のアルバムのプロデューサーにKEVIN SHIRLEYを起用しますが、彼をプロデューサーに選んだ理由は?
JT : 彼は正に適任だよ。経歴を知っているだろう!彼がつくったJohn HenryのBonamassas Balladの音は、素晴らしいよ。彼は、俺たちみたいなロックヘッズたちをどう扱うかわかってくれるさ。

MM : それでは日本のファンへのメッセージをお願いします。
JT : 日本は素晴らしいよ!君たちは、バンドの初期のころからずっと俺達を支えてくれている。俺たちも君たちを支えていくよ!


LIVE! AT SHEPHERD’S BUSH, LONDON
2011年9月14日発売  (ビクターエンタテインメント)

<DVD>
1. LAST LOOK AT EDEN 
2. THE BEAST 
3. ROCK THE NIGHT 
4. SCREAM OF ANGER 
5. NO STONE UNTURNED 
6. CARRIE 
7. THE GETAWAY PLAN 
8. GUITAR FEATURE – THE LONER 
9. SEVENTH SIGN 
10.NEW LOVE IN TOWN 
11.LOVE IS NOT THE ENEMY 
12.MORE THAN MEETS THE EYE 
13.DRUM FEATURE – WILLIAM TELL OVERTURE 
14.ALWAYS THE PRETENDERS 
15.START FROM THE DARK 
16.SUPERSTITIOUS 
17.DOGHOUSE 
18.THE FINAL COUNTDOWN

Live At Stockholm ice stadium “Hovet” 2009.12.28
1.LAST LOOK AT EDEN 
2.LOVE IS NOT THE ENEMY 
3.SUPERSTITIOUS 
4.GONNA GET READY 
5.SCREAM OF ANGER 
6.NO STONE UNTURNED 
7.NEW LOVE IN TOWN 
8.THE BEAST

Live At Grona Lund Amusument Park 2010.09.17
1.LAST LOOK AT EDEN 
2.GUITAR FEATURE 
3.SEVENTH SIGN 
4.START FROM THE DARK

ミュージック・ビデオ
1.LAST LOOK AT EDEN 
2.NEW LOVE IN TOWN

ビハインド・ザ・シーンズ
ピクチャー・ギャラリー

<CD>
1. PRELUDE 
2. LAST LOOK AT EDEN 
3. THE BEAST 
4. ROCK THE NIGHT 
5. SCREAM OF ANGER 
6. NO STONE UNTURNED 
7. CARRIE 
8. THE GETAWAY PLAN 
9. SEVENTH SIGN 
10.NEW LOVE IN TOWN 
11.LOVE IS NOT THE ENEMY 
12.MORE THAN MEETS THE EYE 
13.ALWAYS THE PRETENDERS 
14.START FROM THE DARK 
15.SUPERSTITIOUS 
16.THE FINAL COUNTDOWN