Supersonic Blues Machine
Supersonic Blues Machineが、骨太であり聴き手を惹きつけるフックを持つブルーズ・ロック曲が揃った会心作「West Of Flushing, South Of Frisco」をリリースした。
Supersonic Blues MachineはFabrizio Grossi(ファブリツィオ・グロッシー)、Kenny Aronoff(ケニー・アロノフ)、Lance Lopez (ランス・ロペス)の音楽キャリアが豊富な3人の強者ミュージシャンが集まったプロジェクトである。
アルバムでベースプレイのみにあらずプロデュース、作曲・アレンジ、ミックスを一手に担うFabrizio Grossi(ファブリツィオ・グロッシー)は、ベーシスト、プロデューサー/ミキサー、音楽コンサルタントとしてスティーヴ・ヴァイからニナ・ハーゲン、レスリー・ウェスト、デイブ・ナヴァロ等、これまでに大勢のアーティストに関わっている。
そこで培われた人脈は今作に参加しているビリー・ギボンズ、ウォーレン・ヘインズ、ロベン・フォード、ウォルター・トラウト、クリス・デュアルテといったゲスト陣でも表されている。
ドラマーのKENNY ARONOFF(ケニー・アロノフ)はJohn Mellencamp、John FogertyからJon Bon Jovi、Celine Dionに至るまでここではとても挙げきれないほどの膨大な数のアーティストの作品にドラマーとして参加しており、これまでに彼の名を知らなくとも、気づかないうちに彼のドラムを耳にしている人も多いはず。
そして実力派ブルーズ・ロック・ギタリスト、シンガーソングライターであるLance Lopez (ランス・ロペス)は、そのリアルで感情豊かなギター、歌声で聴き手を強く惹きつける魅力溢れたミュージシャンである。
Supersonic Blues Machineを担う3人のメンバーにアルバムについて訊いた。
Interview / Text Mamoru Moriyama
Translation Louis Sesto (EAGLETAIL MUSIC)
Muse On Muse (以下MM) : Supersonic Blues Machineが誕生した経緯についてお聞かせ下さい。
Fabrizio Grossi (以下FG) : スティーヴ・ルカサーのジャム・バンドThe Goodfellasで一緒にツアーをして以来、ケニーとは何か一緒にやりたいとお互いにずっと話をしていたんだ。本格的な60年代〜70年代のジャム・スタイルでありながら、オリジナルの楽曲で我々の友人ミュージシャンとも一緒にプレイできるようなバンドを作りたいという話だったのさ。その矢先にビリー・ギボンズと曲を作る仕事に携わることになり、その曲を発表する場を決める際にビリーが新たなバンドを作ることを検討したらどうだと言ったんだ。そこからSupersonic Blues Machineが生まれたのさ!
MM : ケニーはJohn Mellencamp、John FogertyからJon Bon Jovi、Celine Dionに至るまでここではとても挙げきれないほどの膨大な数のアーティストの作品にドラマーとして参加していますが、今回Supersonic Blues Machineでの活動を決意させたのは何だったのでしょうか?
Kenny Aronoff (以下KA) : 私はともかくプレイをすることが好きなのがひとつの理由だ。それにファブリツィオとは通常のセッションやレコーディングのような他人のための仕事とは違ったパーマネントなバンドをやりたいという話をしていた。だから決して悩むようなことではなかったよ。もうひとつ大きな理由は、このSupersonic Blues Machineでは他人のためではなく、自分たちのために音楽をやっているということ。上にボスがいる訳でもなく、自分たちだけのために音楽を作っているというのが参加した大きな理由だ。
MM : デビューアルバム「West Of Flushing, South Of Frisco」を制作するにあたってのコンセプトについて教えて下さい。
FG : 何よりも自分たちが聴いて育った大好きな音楽に満ちたアルバムを作ることがコンセプトだった。60年代〜70年代の音楽が持つ特有のフィーリングやサウンド、そしてアプローチを取り入れたかった。信じられないことに、今はこのような音楽をやっている人たちが殆どいない。今のところ、批判的なレビューも無いし、むしろ新しいファンや友人も増えている。それにアルバムがリリースされてからまだライヴを一度もやっていないのに多くの応援メールも届いている。人々はこういうサウンドに飢えていたのではないだろうか?我々もこのバンドをとても楽しんでいるので、今後も是非続けていきたいと思っている。ツアーに向けて色々と計画をしているし、新しいアルバムをあと2枚作るだけのマテリアルも既に揃っているよ。
MM : ビリー・ギボンズ、ウォーレン・ヘインズ、ロベン・フォード、ウォルター・トラウト、クリス・デュアルテといった強烈な個性を放つミュージシャンがゲスト参加する中、アルバムに一貫性を持たせる上でプロデューサーの立場からはどういったことを心掛けましたか?
FG : 彼らは決して雇われただけのゲストではない。今回のゲストは全て過去に一緒に仕事をしたことある人たちばかりで、共に大切なものを分かち合った仲だ。このような関係を持っているとお互いの間に尊敬の気持ちがある訳で、時間や場所、スタジオに関わらず、とても自然な形で音楽が生まれて来るのだ。それぞれのゲストが持つ違いや個性には大歓迎だったよ。それがこの作品を面白くしているし、味気ない商業的作品にならなかった要因でもある。プロデューサーとして、そしてファンとして、ブルースやソウル系の音楽の大ファンであったと同時に様々な要素を含んでいるアーティストがとても好きだった。The Beatles、Queen、Led Zeppelin、Earth Wind and Fire、Pink Floyd、David Bowie、Toto等のアーティストは自分たちの音楽を様々な解き方やカラーを使って表現しながらキャリアを築き上げた。そういった姿勢と経験をブルース、ロック、ソウルという文脈に取り入れようとした訳だ。
MM : ゲスト参加した彼等からのアルバムについてのフィードバックはありましたか?
Lance Lopez (以下LL) : 勿論さ!アルバムについて最初に話をしたのはビリー・ギボンズだった!彼は地元のテキサス州ヒューストンで「Perfectamundo」のツアーでライヴをやっていたのだが、ライヴの後に話をしたら「あのBlues Machineは凄かったな!」と、驚いた顔をしながら語ってくれた。彼は完成したアルバムをとても気に入っていたよ。ウォーレン、ロベン、ウォルター、エリック、クリスも完成品をとても気に入ってくれていたよ!
MM : 彼等やランス、ファブリツィオ、それぞれが持つグルーヴのユニークさについてドラマーの立場から感じ取ったことがあればお聞かせ下さい。
KA : 彼らは皆ブルース、ロック、そしてジャム系の世界を代表するミュージシャンたちだ。彼らはどんな音符やコードを歌ったり弾いても、彼らだと分かるような強い個性を持っている。それぞれ自分の弾き方やグルーヴを持っている。誰が誰より優れているか等は言えない。彼らは独特のグルーヴ、そしてバンドとの交わり方を持っていて、ドラマーの観点から見てもその様々な個性こそがこの作品における共同作業を素晴らしいものにしたと言えるだろう。
MM : アルバムの曲作りはどのように進められたのでしょうか?詳細なプロセスについてお聞かせ下さい。
FG : 最初に書いた曲は”Running Whiskey”だった。ある昼下がりにビリー・ギボンズとタル・ウィルケンフェルドと3人で書いた。この曲がきっかけでビリーは私に通常の作品以上にこの音楽で何かを作り上げた方がいいというアイディアを提案してくれた。”Remedy”はウォーレン・ヘインズと一緒に書いた曲だ。彼のヴォーカルとギター・ワークはこの曲に特別なサザン系の雰囲気をもたらしてくれている。何ヶ月もの間、ウォーレンとアイディアを交換し合った結果がアルバムで聴ける。素晴らしいアメリカン系のテイストを持った曲作りをする友人のジョーイ・サイクスが書いた”Let’s Call It A Day”とBobby Blue Blandへの個人的なトリビュートとして収録した唯一のカヴァー曲”Ain’t No Love In The Heart Of The City”以外は全ての楽曲を自分、もしくは自分と友人のセルジ・シミックが書いている。楽曲はアイディアの交換によって生まれたものだが、基本的に殆どは突然沸き上がって来る様々なコンセプトを即座にスタジオで録音したものばかりだ。歌詞は個人的な思いや人生経験から作られた「許し」をテーマにした愛のメッセージだ。「共通の愛、受け入れる姿勢、そして理解」という日常の哲学をベースにしている。次作ではメンバー全員の共作が増えるだろう。それがあたり前のステップだろう。
MM : この3人のメンバーでの作品作りは如何でしたか?
KA : 彼らは素晴らしいミュージシャンたちで、無意味な精神的マスターベーションでスタジオでの時間を無駄にするようなことは一切しない。やるべき仕事をすぐにやってくれる連中だ。それに、何を作りたいか考えがはっきりしている人間が3人揃うと、その結果は間違いなく素晴らしいものだ。今までにレコーディングした作品の中で最も苦労のなかった作品のひとつだ。
LL : メンバー3人?まるで10人ぐらいと一緒にレコーディングをしているかのようだったよ!!!(笑)
FG : 喜びであり、同時に挑戦でもあった。レーベルと契約を交わす前に制作を全て行っていたので、頼れるのは自分たちの力、そして家族や友人たちの協力だけだった。今回のアルバム制作は良い意味での闘いだったし、バンドメンバーや友人たちとも更に固い絆で結ばれる結果をもたらしてくれた。
MM : このアルバムにおいてランスの温かくて芯があるギタートーンによる感情豊かな素晴らしいプレイを聴くことが出来ます。ギタープレイや音作りに対するあなたのアプローチ方法について詳しくお聞かせ下さい。
LL : 狙っていたギター・サウンドに関してはファブリツィオの協力によって得られた部分は多かったね。トーンを決めるために時間をかけてツマミを色々といじったりして、自分たちが本当に欲しいと思っていた音が得られるように努力をしたよ。様々なギターやアンプ、ペダルも使った。ファブリツィオが取っているギターのレコーディング方法というのはとても素晴らしくて、一度音を決めることさえできてしまえば、ギタリストとしてはベストのパフォーマンスが出しやすい環境だ。
MM : あなたが使用しているギター、アンプ、ペダル類について教えて下さい。
LL : 色んな機材を少しずつ使ったよ。ギブソン、PRS、フェンダー、ミュージックマンのギターにBogner、PRS、DV Mark、そしてMarshallのアンプを使った。使用したオーバードライブ用ペダルのいくつかは自分のシグネチャー・モデルだった。Goran Guitars Fat Boy Overdrive、Mojo Hand FX Rook Overdrive、Fulltone Clyde Standard Wah、それにヴィンテージのMXRフェイザーを使った。なるべくシンプルにしながら、色んな組み合わせを試して各楽曲に合う音色を探しながら録音したよ。
MM : ロベンが参加している”LET’S CALL IT A DAY”はあなたとロベンによる哀愁感のあるギターがとても印象的なバラードですね。
LL : ロベンは自分にとって最も偉大なヒーローの一人だし、彼からはいつも多くを学ばせてもらっているよ!ジョーイ・サイクスがとても美しい曲を書いてくれたので、楽曲を完璧にするために正しいギタリストの選択が必要だった。この曲におけるロベンの演奏はピカイチだ!彼は何を弾いても最高だよ!
MM : Supersonic Blues Machineとしての今後の予定をお聞かせ下さい。
FG : 春の終わり頃にヨーロッパで何本かライヴをやる予定だ。その後は夏にヨーロッパとここアメリカでフェスティバルにいくつか出演する。それが終わったらまたヨーロッパを廻り、年末から2017年の始めまではアメリカをツアーする予定だ。できる限り多くの国や地域にSupersonic Blues Machineとその仲間たちを連れて行きたいと思っているよ。最初は難しいかもしれないが、色々と計画を進めているところだ。日本のファンの皆もプロモーターにリクエストをしてくれれば我々もあなたたちの美しい国を訪れることができるかもしれない!
MM : ファンへのメッセージをお願いします。
FG / KA / LL : 世界中でこのアルバムを受け入れてくれて本当にありがとう。このアルバムを作るために多くの愛情が注がれている。その作品が多くの人々の心に触れていることを知っただけでも私たちにとって大きな喜びであり、とても報われたという気持ちになったよ。この「愛」がどんどん大きくなり、普段はツアー等でも行けないような国や地域にも足を伸ばすことができればと望んでいる。そして世界中で新たな仲間と共に楽しみながら兄弟愛を広げていきたいと思っている。今まで以上に今の世の中には「愛」が必要とされている!
Supersonic Blues Machine official site : http://supersonicblues.com/
Supersonic Blues Machine facebook : https://www.facebook.com/SupersonicBluesMachine
West Of Flushing, South Of Frisco / Supersonic Blues Machine
01.Miracle Man
02.I Ain’t Fallin’ Again
03.Running Whiskey (feat. Billy F. Gibbons)
04.Remedy (feat. Warren Haynes)
05.Bone Bucket Blues
06.Let It Be
07.That’s My Way (feat. Chris Duarte)
08.Ain’t No Love (In The Heart Of The City)
09.Nightmares And Dreams (feat. Eric Gales)
10.Can’t Take It No More (feat. Walter Trout)
11.Whiskey Time (Running Whiskey’s extended ending)
12.Let’s Call It A Day (feat. Robben Ford)
13.Watchagonnado