Stevie Salas (スティーヴィー・サラス) コラム issue #2 GUITARS GUITARS! GUITARS?

俺はクールなギターを愛してる!ヘンなギターもユニークなヤツも、とにかく俺はギターが大好きだ!

俺がギターを集めるのは、その見た目もさることながら、音を出した時に最高と感じられる一本に巡り合えるからだと思う。ご存じのとおり、俺は変わったシェイプのギターを沢山持っているが、それはなぜか?理由は次の通りだ。

俺が子供の頃に好きだったバンドの一つがキッスだ。生まれて初めて見に行ったコンサートはサンディエゴのシビックセンターで行われたキッスの『Dress To Kill』ツアーだった。オープニングアクトはラッシュで、観客は2、3千人程度。チケットもソールドアウトしていないショーだった。その翌年も、前座をモントローズが務めたキッスの『Kiss Alive』ツアーを見に行った。その時点まで、俺の夢はギブソンのフライングVかエクスプローラー、或いはそれよりも上のホンモノのレスポールを手に入れることだった。小6の頃の話だ。

しかし、この後で全てが一変することになる。

再びキッスの『Love Gun』ツアー(『Kiss Alive II』ツアーとも呼ばれている)を見に行った。前座はチープトリックで、“ヘンテコギターの王様”リック・ニールセンも当時はまだヘンテコなギターを持っていなかった。しかし、前座が終わり、ポール・スタンレーが初めてアイバニーズのアイスマンを持ってステージに登場した時のことだ。俺はその瞬間から数週間もの間、「あれは一体何なんだ!?」と、そのギターのことが気になって仕方がなかった。それぐらい衝撃を受けたんだ。

ここで話は、サンディエゴでの俺のハイスクール時代のバンド『THIS KIDS』に飛ぶことになる。俺は、変わったギターを弾けば、もっと目立つようになるし、人目を惹くだろうと考えていた。結局バンドが無名だと自分達の存在に気付いてほしいワケで、みんなの話題に上りたいって思うのがフツーだろ?だから、これは今でも俺の哲学なんだ。俺はステージで自分が使っているギターについて、「あのギターは一体何なんだ?なんであんなに良い音がするんだ?」といった具合に、常にみんなの話題をさらって、関心を惹きたいんだ。

90年代後半、俺は二つの決心をした。その時は自分でも本気でアタマがイカレちまったんじゃないかと思ったぐらいだ。

決心その1. 「必要な時以外、白いソックスは絶対に履かない」:
まず、イタリアに行った時によく買うユニークな色のソックスしか履かないことに決めた。なんたってイタリアのソックスは最高だからな。今じゃ誰もが履いているが、俺はそれがクールだとされる前から履いていた。

決心その2. 「ステージではストラトタイプやレスポールタイプのギターは極力弾かない」:
ストラトやレスポールは今でも必要があれば弾くが、できるだけ弾かないようにしている。特に、今はギブソンがロクにギターも弾けないようなクソポップバンドのおバカギタリストにレスポールをタダで提供するような時代だ。俺が『アメリカンアイドル』の仕事をしていた時、リハーサルにギブソンの人間が訪ねてきて、俺が雇った連中に自分とこの二級品ギター(極上カスタムショップ製とはほど遠い、クソみたいなあつらえ品)を弾かせて、テレビで宣伝させようと目論んでいた。あれにはマジで吐き気がしたし、ホントに腹が立った。それこそブランドの崩壊だよな。真っ当なギタープレイヤーが求めているのは良い楽器であって、まともにギターも弾けないような連中が使っている楽器なんてクソ喰らえってんだ。まあ、俺自身の存在と比べたらギブソン自体は会社もデカいし、どうしようもないことではあるのだが・・・。

90年代の中ごろ、ドイツで『Uli’s Music』という楽器屋をやっている友達が、贈り物にカスタムギターを作ってくれるという話になった。「それなら四角いギターを作ってくれ。」と、そう伝えたら、本当に作ってくれた。ある晩、スラッシュが脱退した後のガンズ・アンド・ローゼズから連絡をもらい、連中とのジャムセッションにその四角いギターを持っていったんだ。そしたら、ベースのトミー・スティンソンが一晩中そいつを弾いてくれって言うんだ。どういうことだかわかるかい?ユニークなギターはみんなから一目置かれるし、気付いてもらえる。要は覚えてもらえるってことだ。

俺のほとんどのギターは、マホガニーボディにメイプルトップ、メイプルネックで、指板はローズウッドかエボニーという原則に基づいている。どうせアレだろ?メイプルネックの付いたレスポールみたいだって言いたいんだろ?でも考えてみろよ。極上のオールドのレスポールは極上のオールドのストラトと同じぐらい良い音がするんだぜ。これについて異論はないよな。でも、俺はそういったクラシックな木材の組み合わせに、クールなボディシェイプやイカしたピックアップコンビネーションを持ち込みたいんだ。

最後に、俺が一番重要だと思うことを挙げておく。それは、“良いプレイをして、素晴らしいトーンを出す為に、なにも他人のマネをする必要はない。ユニークであれ!”ということだ。考えてもみろよ。世間では、ギグをゲットする為に沢山のギタリストがしのぎを削っている。オーディションで、全員が技術的に似たようなレベルだとしたら、強く印象に残るのは、オリジナリティがあって、弾いている楽器もクールで、かつ独特なイマジネーションやヴァイブを持っているヤツのはずだ。そういったエッジの効いた部分を持っているかどうかで、ギグをゲットできるか、それともベッドルームプレイヤーのままでいるのかが決まると思うんだ。
 
フラマスから出た俺の新しいモデル、スティーヴィー・サラス『Idol Maker』。

俺が所有しているその他のクールなギター達。(アルミネックの)クレイマーを覚えているかい?これを作ったのもクレイマーなんだけど、Vaccaroという名前で呼ばれている。コイツは3本しか作られていなくて、1本は俺、残りの2本はそれぞれレニー・クラヴィッツとキッド・ロックの為に作られたものだ。

 
こっちはクールなDBZギター。DBZも最近グレイトなギターを作っている。

 
そして、DBZ(Dean B. Zelinskyの略)以前のオリジナルのディーン。例のハイスクール時代のバンド『THIS KIDS』でプレイしていた時、俺はシカゴで製造されていたオリジナルのディーンを持っていたんだけど、一つ面白い話があってね。俺は1982年にカリフォルニア州オーシャンサイドでこのギターを手放したんだけど、最近になってアメリカの全く反対側からひょっこり出てきたんだ。そんなわけで、今はこのギターを取り戻そうとしているところさ。


 
『Idol Maker』を持つ友人のリッチ―・コッツェン。

 
現在ハードロックカジノの壁に飾られている俺の初期の頃のヘイマー・カリフォルニアン。

 
イタリア製のカーボンファイバー製ギター『Handle』。

 
そして、最近スミソニアン博物館に行ってしまった俺のキャパリソン。

 
レオ・ナップとデザインしたヤマハのカスタムショップ製ギター(1990年)。

 
ニューヨーク市のスミソニアン博物館にある俺のキャパリソン。

 
フランスのとある雑誌のカバー用にロッカーから引っ張り出してきたヘンテコギター。詳細はわからないが、ファンキーなのは間違いない!

 
『THIS KIDS』の初期のギグでリック・グールド所有のデストロイヤーを弾く俺。ガキの頃、俺にこのギターを弾かせてくれたリックは後にギタープレイヤー誌のフォトグラファーになるんだ。

 
これもカーボンファイバー???ある意味超クールかもしれない。

 
Vaccaroカスタム:1999年のフジロックにて使用。

 
例の四角いギター:ビリー・ギボンズとのジャムセッションにて。


 
ヘンテコギターの王様、チープトリックのリック・ニールセン。

 
スティーヴィー・サラス

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Translation by Yuichiro Chikamochi