Steve Lukather
Photo : ©Heather Porcaro
2008年に解散を表明し活動を停止していたTOTOがALS(筋委縮性側索硬化症)を発症し、療養中のバンドのベーシスト:マイク・ポーカロの支援を目的に再結集したのは2010年の出来事であった。その後、バンドはベストアルバム「IN THE BLINK OF AN EYE 1977-2011」のリリースや世界中でライヴ・ツアーを行い、2014年にはその模様を収録したライヴ作品「35th Anniversary Tour: Live in Porland」を発表。
そして今回遂に9年ぶりとなるオリジナル・スタジオ・アルバム「TOTO XIV」を完成させた。悲しいことにTOTOを再結集に導いたマイク・ポーカロはこの素晴らしい傑作となった作品のリリースにまるで自らのバトンを渡すかのように天国へ旅立った。しかしバンドはマイクに天国で彼とのセッションを心待ちにしているジェフ・ポーカロへの素晴らしい手土産「TOTO XIV」をマイクに預けることができた。
世界中の音楽ファンの期待に応え満足させる優れた作品を生み出すパワーがTOTOに健在であることを見事に証明した快心の作品「TOTO XIV」についてスティーヴ・ルカサーに訊いた。
Photo : ©stevelukather.com
Interview / Text Mamoru Moriyama
Translation Louis Sesto (EAGLETAIL MUSIC)
Muse On Muse (以下MM) : 大変悲しい出来事ですがALSを患い療養中であったマイク・ポーカロが3月15日に永眠しました。
Steve Lukather (以下SL) : 我々もまだ心の整理がついてない状態だ。でも、彼は苦しみから解放されて今はジェフと一緒にいることだろう。彼がこの世を去ってどれほど恋しいか、表現する言葉も見つからないよ・・・。
MM : 療養中であった彼の支援を目的にTOTOのメンバーが再び集まり世界中をツアーし、遂にはオリジナルスタジオアルバムを完成させました。彼は生前にTOTOの新作を聴きましたか?
SL : 彼はアルバムを聴いているし、とても気に入ってくれていた。嬉しくもあり、悲しくもあるよ。彼はアルバムに参加していないからね。でも、彼はこのアルバムを作るにあたって大きなインスピレーションを与えてくれたのは間違いない。
MM : TOTOの新作についてお聞かせ下さい。長いキャリアを持つバンドの中には、新たな作品を生み出すことはせずに過去のヒット曲中心のツアーに頼る人達もいます。あなた達は新作「XIV」において、TOTOにはファンの期待を裏切らない優れた作品を生み出すパワーが健在であることを見事に証明しましたね。
SL : 様々な理由があってこのアルバムを作ることになった。中にはあまり良いとは言えない理由もあったのは確かだ。でも、結果的に誇りに思えるような作品を作ることができた。楽しくもあり、そして辛くもあった制作期間だった。10ヶ月の期間の中で断続的に作業を続け、何度も曲を書き直したよ。こんな年寄りたちでも、過去の焼き直しではない新鮮な音楽を作れるということを証明するためにね。これが最後のフルアルバムになったとしても、誇りに思うことができるだろう。今のところ、様々なレビューやチャートランキング、売上等を見ても結果は良いと言える。ツアーも楽しみにしているし、2016年の早い時期に日本のみんなと会えることを期待しているよ。
MM : アルバムジャケットのイラストがクールで印象的ですが、このジャケットにはどういった意味が込められているのでしょうか?
SL : アルバムジャケットと写真はスティーヴ・ポーカロの娘のヘザーが彼女のチームと一緒に制作してくれたんだ。見え透いてなくてクールだし、TOTOの昔から現在までの様々な要素を取り入れたジャケット・デザインだと言える。
MM : アルバム収録用の曲作りやレコーディングはどのように進められたのでしょうか?詳細についてお聞かせ下さい。
SL : ともかく時間がなかったね(笑)10ヶ月の期間の中で断続的に作業を続けた。一生懸命だったよ。全員でアイディアを出し合って、それを組み合わせて曲を作っていたね。ともかくルールなんてなかった。ただ、誰か一人が作った作品ではなく、バンド全員で作った感じを前面に出したかったんだ。メンバー全員が輝いている作品だ。スティーヴとデヴィッドが戻って、ジョセフが歌っているのがともかく最高だったし、CJ Vanstonも評価したいね。彼はメンバー以上に頑張っていたし、常に勢いを保ってくれていた。彼がいなければアルバムは完成しなかったよ。
Photo : ©Heather Porcaro
MM : アルバムは”RUNNING OUT OF TIME”、”HOLY WAR”などのロック色が強いパワフルな曲から”ALL THE TEARS THAT SHINE”や”THE LITTLE THINGS”など落ち着いた大人の雰囲気の曲までアルバム全体を通して繰り返し何度も聴きたくなる素晴らしい作品です。アルバムを制作するにあたりコンセプトはありましたか?
SL : TOTOが持っている全ての要素を取り入れたクラシックなTOTOアルバムを作るというコンセプトに尽きるね。それが自分たちだからね。ひとつの大きな絵を作るのではなく、パズルの沢山のピースの組み合わせるような感じだ。
MM : 今作におけるあなたのギタープレイ、特にソロにおいて限られた小節の中で楽曲の魅力を最大限に惹き立てるメロディックな展開の構成にはとても感銘を受けました。
SL : ホントに?(笑)少し控えたつもりだったんだけどね。ギターを速く弾くことはもはやありふれていて、誰でもできることになってしまっている。自分は長所であるメロディックなプレイを心がけて、あまりフラッシーなプレイをしないようにしている。そもそも、自分より上手にフラッシーなプレイをする人が沢山いるからね。今は自分が年を取って、より賢くなったことを活用して適切な音符やフレーズを選ぶように心がけているよ。 ライヴ・・・それはまた別の話だ(笑)
MM : 今作に参加したTOTOの各メンバーをひとりずつあなたの言葉で表すと?
SL :
David Paich: バンドを導くリーダーだね。彼がジェフと一緒にこのバンドを始めた。
Steve Porcaro: 兄弟のように近い存在。彼がいなければ、私は今ここにいないだろう。自分の人生を変えてくれた人だ。
Joseph Williams: 彼が戻って来てくれて本当に嬉しい!彼の声も、作曲も、制作におけるアイディアも、全てが以前にも増して優れている。彼は子供の頃からの幼馴染みでもある。家族同然だ。長いブランクを経ても私の大切な友達でい続けてくれた。
− ご自分に関しては?
SL:困ったね・・・まだ発展途上・・・ということでいいかな?(笑) 皆さん、どうもありがとう!良い一日を!
TOTO official site : http://totoofficial.com/
Steve Lukather official site : www.stevelukather.com/
TOTO / TOTO XIV
01. RUNNING OUT OF TIME
02. BURN
03. HOLY WAR
04. 21ST CENTURY BLUES
05. ORPHAN
06. UNKNOWN SOLDIER(FOR JEFFREY)
07. THE LITTLE THINGS
08. CHINATOWN
09. ALL THE TEARS THAT SHINE
10. FORTUNE
11. GREAT EXPECTATIONS
12. BEND (Bonus Track For Japan)