Reagan Browne (レーガン・ブラウン) コラム issue #3 シンガーとして自分の才能と声を探すこと

シンガーとして自分の才能と声を探すこと-俺はこれを極める為に多くの時間を費やしてきた。ミュージシャン、そしてシンガーとして切磋琢磨してきたつもりだ。自分がギタリスト、シンガー、ベーシスト、あるいは他の楽器のいずれのプレイヤーであったとしても、自分だけの持ち味を身に着けるにはどうすればいいか。現在活躍中のミュージシャンの中で、数音聞いただけで誰だかわかるような連中は、今のレベルに達するまで、自分の部屋やスタジオに籠り、何年も孤独な練習を重ねてきたに違いない。

例えば、ジョン・フォガティーが現在の声質を得る為に膨大な時間を費やしたという話を以前読んだことがある。自分の声を録音しながら、他の要素を取り入れ、微調整した結果が、現代最高峰の一つといわれるあのロックボイスというわけだ。今日はそういった例をいくつか取り上げるとともに、「自己探究の過程で如何にその点に到達するか」ということについて触れてみたい。シンガーとして自分がこれまでやってきたことについて紹介できればと思う。

早い話、全ては「自分の好きなヴォーカリストをコピーしつつも、その過程においてキラリと光る自分の声を持つ」ということに集約される。生来人間は誰もが聖歌隊のような、クリーンで天使のような歌声を持っているものだと思う。それはそれで素晴らしいことだが、それがロックンロールで通用することはほぼ有り得ない。つまるところ聖歌隊の声にはエッジがないし、偉大な先人達がそうしてきたように、わざと鎖に”ねじれ”を与えて、それを他の要素と混ぜ合わせ、個性に昇華させるのがロックンロールだ。

俺はどういうわけかロバート・プラント、クリス・コーネル、アクセル・ローズ、ロッド・スチュワートといったハスキーヴォイスのシンガー達に惹かれていった。なので、自分が歌い始めた頃は、例えばレッドツェッペリンの曲に合わせて歌いながら、ロバートに近付けるべく、自分なりにハスキーさをブレンドしていった。ロバートのように高い音域で歌う際には、微妙に頭声を活かした歌い方を次第に習得していくのだが、彼を一音一音完全にコピーするようなことは一度もしたことがない。

自分のアイドルであるクリス・コーネル、アクセル・ローズ、デヴィッド・カヴァーデールや、その他の何人かのシンガーについても、同じように研究していった。考え方としては、ブレンダ―に三つか四つのものを放り込んで、スイッチを押し、ミックスして、どんなものが出てくるか、といったところだろうか。その結果、大概クールなものに仕上がる。自分の憧れのシンガーの要素を取り入れつつも、何よりそれが自分だけの声になるわけだからな。今はもうそれが完全に自分の物になっているので、歌う時に誰それの影響なんてことは全く考えない。

似たような例で思い出されるのが、スティーブ・ペリーがその昔サム・クックに憧れていたという話だ。スティーブの歌を聴いていると、微かにサム・クックの影響を感じ取ることができる。また以前読んだ話だが、デヴィッド・リー・ロスはヴァンヘイレンのとある初期の曲の中でロッド・スチュワートの歌い方をコピーしようとしていたらしい。デイヴ的にはそれが“やや露骨”だったようだが、聴いている側の俺達にとっては、やっぱりデヴィッド・リー・ロスにしか聴こえないんだ。

色々なシンガーの影響を少しずつ取り入れることで、願わくはこれまでに誰も聴いたことのない自分だけの声を作り上げたい。俺自身、それを実現できるよう努力しているつもりだ。

前にも述べたように、これは全ての楽器に当てはまることだ。俺の最近のシングル『Gypsy Woman’s Got the Groove』でプレイしてくれたエリック・ジョンソンがこれまでのインタビューの中で何度も語っているように、彼はエリック・クラプトンやヘンドリックス、チェット・アトキンス、ウェス・モンゴメリーといった自分のヒーロー達を日頃からコピーしているらしい。でも、ほとんどの場合、俺達が耳にすることができるのは、やっぱりエリック自身のサウンドなんだ。

結論として言えるのは、おそらく物事の探究には終わりがないということ。だが、よく言われるように、物事の探究の本質は、結果ではなく、時としてその過程そのものにあるのかもしれない。

みんなの幸運を祈る。自己探求の旅の途中で何を見付けたか、是非とも教えてほしい。

P.S 俺の次のシングル『The Universe Gives Me What I Want』(フィーチャリング・モンティ・モンゴメリー)がもうすぐiTunesでリリースされる。是非探してみてくれ。サンクス!!

レーガン・ブラウン

Reagan Browne official site : http://www.reaganbrowne.com
https://itunes.apple.com/jp/artist/reagan-browne/id266054898

■Reagan Browne (レーガン・ブラウン)
アメリカ、テキサス州出身 – 現在ロサンゼルスを拠点に活動するシンガーソングライター。マルチオクターブの音域を使いこなし、クラシックなロックサウンドを基調とする。
インターネットラジオ、IHeart Radio主催の投票型コンテストでロックチャート1位を獲得。iTunesのRocker On The Rise artistsの1アーティストとして選ばれる。映画『The Wedding Pact』で楽曲が使用され、英雑誌クラシック・ロック・マガジンでは”デイヴィッド・カヴァデールやクリス・コーネルと比較できるアーティスト”として紹介された。最新EP 『Reagan Browne』ではギタリスト古川昌義や、元メガデスのマーティ・フリードマン、Mr.Bigのベーシスト、ビリー・シーンやボンジョヴィ、ケリー・クラークソン、ドートリーなど数々のトップアーティストと共演を重ねるPhil Xをゲストにパワフル且つソウルフルな楽曲を収録。
2014年9月に発売されたニューシングル『Gypsy Woman’s Got the Groove』はエリック・ジョンソンとのフィーチャリングが実現したクオリティ高い作品となった。
アメリカ、イギリスを中心に各地でツアーを行っている。

Translation by Yuichiro Chikamochi