80年代から数々のヒット曲を放ってきたブライアン・アダムスをロック・スピリット溢れるギターでレコーディングやツアーで支え続けてきたキース・スコット。 誰もが耳にしたことがあるであろうブライアン・アダムスの数多くのヒット曲では必ずキースの歌心溢れる印象的なギターを聴くことが出来る。
キースは今回のコラムで「ギター・コレクションvs実際の必要性」をテーマに語ってくれた。
ギター・コレクションvs実際の必要性
自分の予算内でできる限り多くのギターやアンプを手に入れることは、プロでもアマチュアでもプレイヤーにとってひとつの目標であるのは間違いない。現在インターネットにアップされている多くの楽器系ブログを見てもその傾向が存在していることは一目瞭然。
ブログの作者たちによると、自分の好きな楽器/アンプの同モデルを複数所有していると書かれていることが多い。しかし、ここで論点となるのはquantity(量)とquality(質)、どちらが重要なのかというポイントだ。
過去や現在のトップ・ミュージシャンの多くは1つもしくは2つの楽器だけでライヴやレコーディングにおいて素晴らしい結果を残している。ならば、何故そんなに多くの楽器が必要なのだろうか?
GAS(Gear Acquisition Syndrome:機材収集症候群)という言葉が存在するのには理由がある。現在のマーケットでは多様な種類のギターやアンプが販売されているが故に、消費者はまるで豪華なビュッフェで食べ物を選ぶかのような選択肢を与えられていると言っても過言ではない。ある程度は自分もその部類に属しているが、それは常にプロのギタリストとして仕事を続けているが故に、自ら自分をその方向へと駆り立てた部分もあるだろう。では、自分は音楽という名の食べ放題レストランでは暴食家だったのだろうか?それは決して否めない。でも、素晴らしいご馳走を楽しませてもらったと思っている!
もし、アドバイスをするならば・・・一度しかない人生の間に試せるだけのものは試すべきである。勿論、それは適度にという意味ではありますが。大手楽器メーカーの殆どはとても特徴的な音質(マイナスなものも含めて・・・)の製品を市場に出しており、少なくともそれを全部聴いてみるだけの価値はあるはずだ。しかし、そのチョイスは自分次第である。中には1つの楽器から何百万もの音のアイディアを作り出せるプレイヤーもいる。それは素晴らしいことだ。でも、自分としては違うフィーリングを出したい時には全く異なるタイプの楽器に手を伸ばすほど効果的なことはないと思っている。今までに参加してレコーディング仕事の中では、プロデューサーやアーティストの要望に応えるためにギターを12本とアンプを数台持ち込んだギタリストを見たこともある。それに加えて3台ものペダル・ボードを持ち込んでいたね。しかし、プレイヤーはどこで線を引けばいいのだろう?どれだけの楽器を自分の手で持ち運ぶ気があるか、という点だ。
基本的には上記で述べたようなケースよりは遥かにシンプルにすることを心がけてはいるものの、時には可能な限りなるべく多くの楽器を準備した方がいいのではないかというプレッシャーを感じることもある。自分の観点からすると、成功の鍵となるは相手に必要な機材/音を提示してもらうこと。もしくは、最初から「これが俺の音だ!」と通すか。それができるプレイヤーも中にはいるかもしれない。でも、自分の長年のライヴやレコーディング経験からすると、プレイヤーの音に対するテイストは変化し、進化することも多々ある。味覚や食の好みと同じようなもので、音に対する感覚や好みも同じぐらい簡単かつ敏感に刺激されやすいということを念頭に置くべきだ。
Bon Apetit!!
キース・スコット
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Translation by Louis Sesto (EAGLETAIL MUSIC)