Philip Sayce Column Vol.1 “VIBRATO”


Philip Sayce
Philip Sayce (フィリップ・セイス) は熱くパワフルなギタープレイが持前のカナダ出身のロック、ブルーズ・ギタリスト。
今回のコラムではギタリストにとって必須テクニックであるヴィヴラートについてフィリップに語って貰いました。


僕にとって、大好きなギタリスト達を特徴づけるためのもっとも重要なテクニックは常にビブラートだった。それは、サインや指紋、ユニークな拍子のようなもので、プレイヤーの心臓の鼓動に根付き、結びつけられているものなんだ。マーク・ノップラー、ブライアン・メイ、ジェフ・ヒーリー、B.B.キング、スティーヴィー・レイ・ヴォーン、エリック・クラプトン、アルバート・コリンズ、エディー・ヴァン・ヘイレン、ボニー・レイット、イアン・ムーア、ドイル・ブラムホール2世、エリック・ゲイル、ジェフ・ベック、ロバート・クレイ、カルロス・サンタナ、ジミ・ヘンドリックス、アルバート・キング、フレディ・キング・・他にも数々のアーティスト達がいるけど、彼らのプレイはまるで人の声のように歌うので、いつも僕と通じていた。
本当に信じられないほどの表現に富んでいる!スムースで、自然、完璧にバランスがとれており、そしてユニークでもある。彼らのビブラートは、力強さ、洗練された技術、コントロール、感情を、彼らの風格のあるギタープレイに加えている。僕は、プレイヤーの音使いや他のテクニックよりも、まず先にビブラートによってそのプレイヤーに魅力を感じることが多い。B.B.キングに一度会ったことがあり、彼のビブラートについて聞くことが出来た。彼は、「目を閉じて、スライドギターを真似るように意識するが、実際にはスライドしない」と教えてくれた。どのようにプレイするのか、彼は実際に見せてくれた。言うまでもなく、彼の特徴的なビブラートは、他のどのプレイヤーとも異なり、彼のプレイだとすぐに認識させた。

僕は、エリック・クラプトンのビブラートが大好きなんだ。彼がありとあらゆるビブラートの技術を使っているのを見てきたけど、その中でひとつ、僕がギターを手にとる度に練習し続けてきた奏法がある。上下の動きが、僕のお気に入りの、柔らかで、声のような音のチョーキングビブラートを作り出す。その奏法でプレイし、やりすぎないためには、かなりのコントロールが必要だ。

スティーヴィー・レイ・ヴォーンは、僕が今まで見たどのギタリスト中でも、最も力強い手をしていた。そのような力を持つためには、0.13-0.58と同じくらい重く弦を弾くのだか、彼の演奏のコントロールと流れるようなマジックは想像ができない。完璧な特徴があり、とても印象的なビブラートは、たったひとつの音でサンパウロの夜を100日間ライトアップすることができるような力を持っている!彼のビブラートは、僕の一番のお気に入りだ。これもまた、僕がギターを持つ度にいつも練習して来た。スティーヴィーの音のようなコントロールと力強さを見つけたくてね。

僕のお気に入りのプレイヤー達のビブラートについてだったら、何日でも語ることができるよ。僕はいつも彼らから学んでいるんだ。僕にとって一番大事なことは、僕自身のリズムと温度を見つけることだ。僕自身の特徴を出して弦を揺らしているし、そのリズムをとるときは、僕の受けた影響や僕の人生経験を加え、そのすべてを合わせて、僕の内面の音と感情を引きだしているつもりなんだ。

今回書いた内容が、君や君のプレイに役立ち、君自身のビブラートの発見につながるといいね。自分自信の経験を通して、自分の内面を聴き感じる方法でね。プレイし続けよう!
Philip

http://www.philipsayce.com

Translation by Tomoko Kikuchi