Tatsuya Nakamura (BLINDMAN)
2年ぶり8作目となる新作「Blazing Crisis」をリリースした日本が誇るハード・ロック・バンド BLINDMAN。 新作「Blazing Crisis」はスケールが大きくダイナミクスに富んだサウンドにメロディアス、そしてパワフルな楽曲が並んでおり、新作を楽しみにしているBLINDMANのファンは勿論のこと、まだBLINDMANを聴いたことがないロック音楽ファンも十分に満足させる素晴らしい内容に仕上がっている。 アルバムのプロデュース、作曲を手掛け、メロディアスかつガッツ溢れるギタープレイを聴かせてくれるバンドのギタリストであり司令塔でもある中村達也氏にBLINDMAN、アルバムについて語ってもらった。
Interview / Text Mamoru Moriyama
Muse On Muse (以下MM) : 日本のファンにとっては今さらかもしれませんが、今回のインタビューではじめてBLINDMAN、そして中村さんのことを知る海外の音楽ファンの方もいると思いますのでまずはプロフィールから伺います。BLINDMANが結成された経緯についてお聞かせ下さい。
Tatsuya Nakamura (以下TN) : 1995年の春にライブハウスのセッションイベントでアニィ(高谷学 Vo)と出会い、彼の声に衝撃を受けまして、前年に出した自分のソロアルバムのマテリアルをやるライブで歌ってもらえないかと頼んだのが全ての始まりで。そのライブの手ごたえが良くて、「これは良いバンドになるね」ってすぐ思いました。
MM : 中村さん自身が音楽やギターを始めた当時の年齢やきっかけを教えて下さい。
TN : 15歳で安物のアコギを買った・・とくにきっかけは無かった。 なんとなくギター弾きたいって思った。
MM : その当時に影響を受けていたミュージシャン、ギタリストをお聞かせ下さい。
TN : 最初はザ・ビートルズに夢中だった。 で、1年後にエレキ買って少しずつ上手くなるにつれてGary MooreやMichael SchenkerやYngwie Malmsteenなどが大好きでしたね。
MM : 当時はどのような方法でギタープレイを学び、テクニックを向上させていたのでしょうか? また、自分のオリジナルなプレイスタイルの確立や、オリジナル曲、フレーズ作りなどといった部分についてはどのように取り組んでいたのでしょうか?
TN : いろんな曲をコピーしたけど今考えるとすごく適当だった気がする(笑) とにかく曲が書きたくて18歳からはバンドもオリジナル曲だった。今もそうだけどスタイルとか個性とかあまり気にしてなかったなぁ。
MM : それではBLINDMANの新作「Blazing Crisis」について話をお聞かせ下さい。「Blazing Crisis」でBLINDMANが目指していたものやアルバムのコンセプトについてお聞かせ下さい。
TN : とにかくクオリティーの高い物。 激しく、美しく、物悲しく、カッコ良い作品。 100%妥協のない物。
MM : アルバムの制作には6ケ月の期間が費やされているようですが、その間どのようなプロセスを経てアルバムは制作されたのでしょうか?
TN : 遠回りをめんどくさがらない、具体的にいえばある程度録音が進んでいる曲も気に入らなければ1から録り直す。 「まあ良いんじゃない?」というテイクはOKにしない。そんな感じでやってたら半年経ってた(笑)。
MM : 収録曲は全曲中村さんによるものですが、メンバーに曲を伝える時点ではどの程度まで作りこまれているのでしょうか?
TN : 曲にもよるけど50~70%くらいかな。
MM : アルバムを聴いていて全体的に感じたのですが、速いテンポからミドルテンポに至るまでどの曲もリズム隊、ギターリフともにリズムにフックがあり、後ろにグッと残す感じがとても心地よいですね。この感覚を言葉で表現するのは難しいのですが(笑)
TN : そこが肝です、そこに6カ月(笑)。
MM : 今回11年ぶりに復活したリズムセクションのルイスさんや戸田さんがバンドに与えるグルーブ感の影響も大きいですか?
TN : もちろん! 大変だったと思うけど頑張ってベストなプレイをしてくれたと思ってます。久しぶりだったけど、意思の疎通もスムーズだったし同じ目標を持ってできた、そこが素晴らしい。
MM : BLINDMANはどの曲もメロディアスな歌、ギターがとても印象的で素晴らしいですね。こういったメロディアスな曲の場合は普通、サウンドもウェットな感じのバンドが多いように見受けられますが、BLINDMANの場合はメロディックでありながらサウンドは明るく力強い・・・その辺りにBLINDMANが持つオリジナリティを強く感じさせられましたが。
TN : 「暗い」と「悲しい」はだいぶ違う。「暗い」っていう感覚は自分の中に無い。「悲しい」の中に「希望」が見えるもの、それがBLINDMANの音楽だと思ってる。それは曲ももちろんだけどミックスなどのサウンドプロダクションにも反映されているし今回の作品はそれが顕著に表れていると思う。
MM : “The Wasteland”や”Flame On The Sea”はドラマチックな展開が実に素晴らしい曲ですね。
TN : この2曲はレコーディングに入ってからもアレンジがどんどん進化していった曲で僕の中に浮かんだアイデアをどんどん形にしていったらこうなった。 これも時間を使った賜物ですね。
MM : “The Dirty Puppet Show”ではソロの前半から後半へ雰囲気を変えつつの展開がスリリングですね。
TN : 狙ったわけじゃないんだけどね、「スリリング」っていう響き、いいね(笑) 「スリリングなソロ」にしたかったんだ、きっと(爆)。
MM : アルバムに収録されたどの曲についてもギターソロのパートはあらかじめ構成されたようなしっかりとしたメロディラインとライブ感溢れるスリリングな部分が合わさったものになっていますが、ソロのアプローチ方法についてお聞かせ下さい。
TN : 基本的にあらかじめ作ることはしない、ひたすら弾く。 かっこいいと思うまで弾く。「The Tears Of God」、「End Of The Rainbow」のソロはある程度作曲されたものだけどあとは何も考えずにひたすら弾く。
MM : ハードロックではギターリフもすごく重要な部分を占めていおり、ハードロックの歴史の中では数々のリフが生み出されてきました。BLINDMANの新作でも”Blazing Crisis”や”The WasteLand”、”Rip My Soul”をはじめ素晴らしいリフを聴くことが出来ます。ギターリフを創作していく上ではどういったアプローチを心掛けているのでしょうか?
TN : ロックにおけるリフの重要性が高いことは間違いないけど、自分が作曲するときにリフを特別に意識することは無いなぁ。 ドラムのリズムパターンやベースラインなんかと同じ位置にあって「曲を形成する重要なパーツの1つ。」という考え方。 でも結局その考え方が良いリフになるんだと信じてやっているのかもしれないですね。
MM : “End Of The Rainbow”の洗練されたバラードにはバンドの音楽的な懐の深さを聴くことが出来ました。他のハードなナンバーと違和感なく調和しアルバムを引き立てていますね。
TN : ありがとうございます(笑)
MM : アルバムに収録されている各曲について解説をお願い出来るでしょうか?曲が生まれるまでの経緯や、曲に込められた思い等をお聞かせ下さい。
TN :
“The Tears Of God”
どこから作ったか覚えてないくらいすぐ出来た。 出来た瞬間に「この曲は自分の人生においてとても重要な曲になる」って思った。 さっき言った「悲しい」の中の「希望」がすごく分かりやすく表現されている曲。 歌詞にも注目してほしいです。
“My Fading Heart”
今作の中で最初に出来た曲。 すごく自分らしいしBLINDMANならではの曲だと思う。じつはこの曲のギターソロが今回の自分のソロの中で1番好き。
“The Dirty Puppet Show”
「速いけど休符がいっぱい」っていう難しい曲。 簡単に出来たけど簡単には弾けなかった(笑) ソロは「いったれー!!!!」って感じ。
“The Wasteland”
70年代みたいな感じにしたくて色々考えた。 Voの録音が終わってから世界観が明確になってきてアレンジが変化したりして面白かったな。 アニィの歌録ってて鳥肌立ったのが印象に残っている。
“Blazing Crisis”
この曲はレコーディングが進むにつれ自分たちの中でのランクがどんどん上がっていった。 気が付いたらタイトルトラックにまで登りつめた。 BLINDMAN流HMの象徴的な曲。
“Take My Hand”
元は僕の自宅で適当にギター弾いてたリフにアニィに歌を乗っけてもらった曲。 それを元にデモを作って皆に聞かせたらイントロに皆ビックリしてた(笑) F#の曲だけどドロップDで弾いてる。
“Flame On The Sea”
これは最初の静かなところから作った。 スケールのでかいHRだね。
“Rip My Soul”
これはギターリフ中心に作ったなぁ、若干さっきの質問と矛盾してるけど(笑) 「8分の6拍子の16ビート」っていう前からやってみたかったリズムの曲。
“End Of The Rainbow”
3月に大好きだった猫が急死した直後に作った。 別にそういう曲にしたいとは伝えなかったけど、アニィがそんな歌詞を付けてくれた。 とても大事な曲。
“No Man’s Land”
これはBLINDMAN流R&Rですね、全員「いったれー!!!!」です。
MM : 今回のアルバムの中で使用したギター、アンプ、エフェクター、ペダル類を教えて下さい。
TN : 91年製のGibson Les Paul Custom と最近のLes Paul Standard。 アンプはMarshallのJCM800の100W。 ペダルはFulltoneのFull Drive 2とMXRのPhase90。
MM : 使用しているギター・ピックの種類や使用している弦の種類なども教えて下さい。
TN : ピックはDunlopのTORITEXのティアドロップの1.0mm。 弦はDRの10~52か10~50。
MM : BLINDMANの今後の活動予定についてお聞かせ下さい。
TN : 2013年もどんどんライブやりたいですね。 次の作品も早いうちに出そうな予感です(笑)。
MM : それでは最後にメッセージをお願いします。
TN : 「Blazing Crisis」をとにかく聴いてみて欲しいですし、ライブも観てほしいです。順番はどっちでも良いので是非(笑)!
BLINDMAN Official Site : http://www.blindman.jp/
BLAZING CRISIS / BLINDMAN
Triumph Records 品番 XQHK-1008 ¥2,940(税込)
1.The tears of god
2.My fading heart
3.The dirty puppet show
4.The wasteland
5.Blazing crisis
6.Take my hand
7.Flame on the sea
8.Rip my soul
9.End of the rainbow
10.No man’s land
アルバムサンプル音源:http://youtu.be/FZY_HJEXT2U
<アルバム購入サイト>
Amazon: http://amzn.to/TRLbeU
Disk Union: http://diskunion.net/metal/ct/detail/XAT-1245575237
レーベル直販: http://shop.bandsouko.com/?pid=48427694