Vol.137 Keith Scott / January 2024

Keith Scott


Photo ©Keith Scott

英国ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで2022年に収録されたブライアン・アダムスのライヴ作品「LIVE AT THE ROYAL ALBERT HALL」がリリースされた。この作品は「CUTS LIKE A KNIFE」、「INTO THE FIRE」、「WAKING UP THE NEIGHBOURS」の3枚のスタジオアルバムのそれぞれを全曲ライヴで演奏されたものが音源、映像で収録されている。このライヴ作品では、ブライアンの名曲の数々が今も尚、色あせることなくパワーと輝きを放っており、ブライアンとブライアンの盟友であるギタリスト、キース・スコットの素晴らしく、そして強固なコンビネーションが健在であることを証明している。このライヴ作品でも歌心あるギタープレイでブライアンの楽曲を見事に惹きたてているギターの名手、キース・スコットにこの作品について語って貰った。


Interview / Text  Mamoru Moriyama
Translation         Hiroshi Takakura


Photo ©Mike Blake

Muse On Muse (以下MM) : 昨年2023年3月にはブライアン・アダムスの日本公演が行われました。2017年1月以来となる久々の日本でのコンサートは如何でしたか。
Keith Scott (以下KS) : 日本に行くのは本当に久しぶりだったけど再び温かい歓迎を受けてうれしかったよ。1983年から数えてみると日本に行ったのは10回目となったよ。

MM : 12月には英国ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで収録されたブライアンのライヴ作品「LIVE AT THE ROYAL ALBERT HALL」がリリースされました。ボックスに付属しているブックレットには「BRYANA ADAMS LIVE AT THE ROYAL ALBERT HALL 2022」と記されていますが、詳細にはいつ収録されたものでしょうか。
KS :  実際のショーは2022年の5月9日から11日にかけて行われたよ。その前週にデンマークのコペンハーゲンでリハーサルをしている。

MM : この作品は「CUTS LIKE A KNIFE」、「INTO THE FIRE」、「WAKING UP THE NEIGHBOURS」の3枚のアルバムをそれぞれ全曲ライヴで演奏されたものとなっています。アルバムの収録曲の中には、普段のライヴではあまり演奏しない曲もあるかと思いますが、アルバム収録曲を全曲プレイするに際して事前の準備はどのように行われたのでしょうか。
KS : ブライアンと僕はオリジナルのレコーディングに参加していたので、主にギターと歌のパートを思い出す作業が中心だったね。新しいバンドメンバーは、曲の細かい部分までを覚えるために相当なリサーチが必要だったと思うけど、最終的に素晴らしいパフォーマンスをしてくれたよ!

MM : 「WAKING UP THE NEIGHBOURS」のライヴでは観客が入った状態でライヴ収録されていますが、「CUTS LIKE A KNIFE」、「INTO THE FIRE」は観客が誰もいないステージ上でのライヴが収録されています。「CUTS LIKE A KNIFE」、「INTO THE FIRE」が観客がいない状態でのライヴ収録となっている理由を教えて下さい。
KS : ブライアンはビデオ撮影で色々なセッティングを使いたかったんだと思う。ステージからの映像だけじゃなくて、会場のフロアからの映像なんかも使ってね。ステージにカメラと機材を全部セットするのは大変だったから、そういう選択をしたんじゃないかな。

MM : 2023年の日本公演でお会いした際に、ツアーでのメンテナンス面なども考えるとライヴにおいてはFractalなどを使用することで、足元のペダルやアンプといったギターの機材を極力シンプルにしていきたい・・といったお話もされていましたが、その事について詳しく教えていただけないでしょうか。
KS : チューブアンプはケースも重いしメンテナンスも大変なのが負担になっていたんだ。Fractalユニットを試して、サウンドも素晴らしかったし、使いやすさに感動したよ。ライヴでは最近これを使っているね。

MM : 「LIVE AT THE ROYAL ALBERT HALL」で使用されていた機材を教えて下さい。
KS : リハーサルとロイヤル・アルバート・ホールでのライヴでは、いつも使っているチューブアンプセットを使用した。メインで使っていたのは50ワットのRoy Blankenship製のプレクシ・クローン、”マーシャル”スタイルのヘッドと、80ワットのCelestionスピーカーが付いたリモートキャビネット、そして中国製のVox AC30アンプヘッド、さらにはワット数の低いの12インチBulldogスピーカーが付いた別のリモートキャビネットを組み合わせて使った。これら2つのアンプからのライン信号はミックスされて直接PAブースのメインミキサーに送られて、PAがPro Tools上のElevenをかけるという流れだったね。アンプの前段には、いつも使っているBradshawペダルボードラックシステムを配置し、Ibanez TS9 Tube ScreamerやLovetone Brown Sourceブースター、そしてボスのディレイやコーラスエフェクトをかけていたよ。

MM : 今回は「CUTS LIKE A KNIFE」、「INTO THE FIRE」、「WAKING UP THE NEIGHBOURS」の3枚のアルバムのライヴが収録されましたが、ブライアンの代表作「RECKLESS」が含まれなかったのは何故でしょうか。
KS : それはブライアンが後々RECKLESSで何かやろうと考えているからじゃないかな。


Photo ©Mike Blake

MM : 「CUTS LIKE A KNIFE」(1983)、「INTO THE FIRE」(1987)、「WAKING UP THE NEIGHBOURS」(1991)のアルバムのレコーディング当時で特に印象に残っていることをそれぞれのアルバムごとに教えて下さい。
KS : それぞれのレコーディングは全く異なる体験だったね。個人的な思い出がたくさんあるんだ。例えば「Cuts Like a Knife」はブライアンやボブ・クリアマウンテン、さらにはミッキー・カリーやトム・マンデルといったミュージシャンたちとの、僕にとって最初のレコーディング・セッションだった。ニューヨークに行ったのも初めてで、1982年の秋にレコーディングを完成させたことはすごく刺激的な体験だった。「Into the Fire」は前作と違って、ほぼ全てのトラックを、ブライアンのウェストバンクーバーの自宅で録音したよ。1986年の夏だったね。彼は家をスタジオにして、下の階にミキシング・デスクを設置していたんだ。そして「Waking up the Neighbors」は、ロバート・ジョン・”マット”・ラングと初めて一緒に作業したことがとても独特な体験だった。彼もまた、自宅にスタジオを持っていて、ロンドン北部の「バッテリー」スタジオでの録音もしたよ。こんな風にそれぞれのレコーディング・セッションごとに色々な思い出があるよ。

MM : ところであなたのサーフミュージック・プロジェクトであるTHE FONTANASの新作の制作状況は如何でしょうか。
KS : 聞いてくれてありがとう!Fontanasの最新リリースは今年の初め恐らく2月になるだろう。

MM : 今後の予定について教えて下さい。
KS : 今年はブライアン・アダムスとのキック・アスツアーで殆どの日程が埋まる予定だね。MVを撮る計画もあるよ。前作のような形でロイヤル・アルバート・ホールでもう3作レコーディングする予定だ。

MM : ファンへのメッセージをお願いします。
KS : 日本のそして世界のファンへ、長い間サポートしてくれて本当にありがとう!君たちの素晴らしい国を訪れることを楽しみにしているよ!

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Bryan Adams / Live at the Royal Albert Hall