Keith Scott
長年に渡り、ブライアン・アダムスの数々の作品やライヴにおいて、ロックスピリット溢れるギターでブライアンを支え続けてきたキース・スコット。誰もが耳にしたことがあるであろうブライアンの数多くのヒット曲では、必ずキースの歌心溢れるメロディックなギターを聴くことができる。ファンの期待を決して裏切らないブライアン・アダムスが作り出したロックスピリットに溢れた最新作「So Happy It Hurts」では、ブライアン自身がほとんどの楽器パートをこなす中、作品の要所の曲では、しっかりとキースのギターが彩られている。アルバムのブックレットのクレジットには、キースは5曲に参加(リズムギター1曲、リードギター4曲)とあるが、キースからの情報によるとリズムギターにクレジットされているタイトル曲”So Happy It Hurts”は、全てブライアンがギターを弾いているとのことであり、キース自身は、4曲でリードギターを担ったようだ。ブライアンの新作への参加やキースがサーフミュージックに取り組んだプロジェクトFONTANASの状況について訊いた。
Interview / Text Mamoru Moriyama
Translation Hiroshi Takakura
Muse On Muse (以下MM) : これまでのコロナ渦においてブラインのツアーも延期されたりとかなりライヴ活動を制限されたのではないでしょうか。
Keith Scott (以下KS) : そうなんだよ。悲しいことに世界は難しい期間に入ってしまった。コロナウイルスによるパンデミック以前の状態に戻るのを待ち焦がれているよ。
MM : その間、あなた自身はどのように音楽活動を維持していましたか?
KS : ほとんどの時間を家族と彼らをサポートするために過ごしたよ。感謝すべきことに僕たちは大きな問題もなくパンデミックを乗り切ることができた。
MM : ブライアンの新作「So Happy It Hurts」がリリースされ、あなたも5曲(注: ブックレットのクレジットにはリズムギター1曲、リードギター4曲に記載があるが、リズムギターにクレジットされている1曲ではキースはギターを弾いていないとのこと)でギターを弾いています。ブライアンからは新作の参加曲についてはどのように声がかかったのでしょうか。
KS : ブライアンとは連絡を取り合っていたから、彼が曲を書いたことは知っていた。そして彼が何年も前から仕事をしてきたマット・ラングをソングライター兼プロデューサーとして迎えたんだ。3者が別々の場所にいたままリモートレコーディングのソフトを使って僕のギターをレコーディングしたんだけど、良い感じで録れたと思う。
MM : ブライアン自身はマルチで楽器をこなすミュージシャンであり、今作でもいくつかの曲ではほとんどの楽器をブライアンが担っています。ブライアンが自身でギターを弾く場合とあなたにギターをお願いする場合はどのように分けているのだと思いますか?
KS : 昔はミュージシャンがスタジオのレコーディングルームに集まり、基本的なパートを演奏しながらアレンジしていくといったトラディショナルなやり方でレコーディングしていたんだけど、最近のブライアンは最初からほぼ自分で演奏して、ギターパートも彼ができる範囲で全て録音して、僕のギターにしかできない事がある時は僕が演奏することになる。自分のパートを彼らが使ってくれれば僕はハッピーだよ!
MM : アルバムのタイトル曲である”SO HAPPY IT HURTS”では解放感あるストロークのリズムギターが印象的です。曲ではいくつかのリズムギターが重ねられていますが、あなたとブライアンとでリズムギターのパートが分担されているのでしょうか。
KS : (この曲のリズムギターにキースの名がクレジットされているものの)この曲では僕は全く演奏していなくて全てブライアンだね。ただライブでやる時はメインのリズムギターとミドルのギターソロを、ブライアンがレコーディング時にプレイしたのと同じように演奏しようとしているよ。ブライアンがヴォーカルに集中しているときは何かが起こるからね。
MM : “YOU LIFT ME UP”では曲間のギターソロやボーカルのバックでギターによるメロディが絡むなどコンパクトながらもあなたらしいギターを感じ取ることができます。
KS : この曲に関してはマット・ラングの力が大きいね。彼とブライアンが方向性を与えてくれたからあんな感じで演奏する事ができたんだ。アプローチ方法も提案してくれたし、メロディー的なアイデアも与えてくれた。素晴らしい方向性に沿って演奏して曲に貢献できるのは嬉しいね。
MM : ミュージックビデオも公開されている”ALWAYS HAVE, ALWAYS WILL”は、レゲエ風ながら哀愁を帯びたリズムギター、短いながらも効果的なソロが入った曲です。
KS : この曲は新しく録った曲の中でもお気に入りのトラックだね。素晴らしいフィーリングを持った曲で、参加できて光栄だよ。
MM : “KICK ASS”は”KIDS WANNA ROCK”に通じるやんちゃなブライアンやあなたが戻ってきた!と感じるロック・スピリッツ溢れる曲です。
KS : 長年ライブを続けてくることでわかってきたけど、こういう曲は僕ら自身にもオーディエンスにとってもエネルギーの源となるんだ。だから価値があるのだと思う。こういう曲を演奏できるのはハッピーだよ。
MM : “LET’S DO THIS”でもコンパクトながらも楽曲を最高に活かし彩るあなたのギターが印象的です。
KS : この曲もまたマット・ラングの影響だね。こういう曲のアイデアに沿って演奏するのは好きだね。僕らのファンにシンプルなメッセージを効果的に伝える事ができる、だからギターを演奏するのは楽しいんだ。
MM : コンパクトながらも楽曲を最高に映えさせるギターをプレイする上であなたが心掛けていることをお聞かせ下さい。
KS :まずは、シンガー / アーティストにどういうサウンドを求めているのかを聞くんだ。もちろん彼らが好きなようにやれと言えばそうするよ。次にその曲のフィーリングを紐解いていく。ラッキーな時はすぐに効果的なアイデアが思い浮かぶよ!
MM : アルバムで使用したギター、アンプ、ペダル類を教えて下さい。
KS : このプロジェクトはホームスタジオでの録音だったから、必要なサウンドを作り上げるためのギアは限定されていた。そういう時、アーティストはアイデアに沿った各々のチョイスでアンプを通してレコーディングしたり後からアンプを通す事ができる。ギターはブライアンの作品では長年使ってきた64年製FenderのStratocasterと、フェルナンデスのサステイナー付きのStrat、Divided by 13のアンプ、VOXのac30、他にもMarshallの20ワットのアンプを1970年モデルの4 x 10″キャビネットと一緒に使ったよ。
MM : まもなくブライアンのヨーロッパツアーが始まりますが、以降の予定について教えて下さい。サーフミュージックなどインストゥルメンタル曲を手掛けるあなたのプロジェクト、The Fontanasは現在はどのような状況でしょうか。
KS : ツアーに戻るには多くの準備が必要だから出来るだけ練習するようにしているよ。The Fontanasのセカンドアルバムも今ミックスダウンの段階だから、それがすぐに終わってリリースできればいいね!
MM : ファンへメッセージをお願いします。
KS : 日本のファンのみなさんこんにちは。そしてありがとう!早く日本に行ければいいな。長年サポートしてくれてありがとう!
Keith Scott official fan club website : http://www.keithscottfanclub.com/
Keith Scott official fan club facebook : https://www.facebook.com/theauthorisedkeithscottfanclub/
Bryan Adams / So Happy It Hurts
01.So Happy It Hurts
02.Never Gonna Rain
03.You Lift Me Up *
04.I’ve Been Looking For You
05.Always Have, Always Will *
06.On The Road
07.Kick Ass *
08.I Ain’t Worth Shit Without You
09.Let’s Do This *
10.Just Like Me, Just Like You
11.Just About Gone
12.These Are The Moments That Make Up My Life
* Lead Guitar : Keith Scott