Robben Ford
Photo by Mascha Photography
絶妙なダイナミクスによる表現、洗練されたお洒落なギタープレイ、楽曲でコアな音楽ファン、ギタリストから支持を受けている匠なギタリスト、Robben Ford(ロベン・フォード)。最新作「Pure」は、「Tiger Walk」以来となる全曲がインストゥルメンタル曲で構成されたアルバムとなっている。今作ではコロナ禍により、共同プロデューサであるCasey Wasner(ケイシー・ワズナー)とロベンとで制作したトラックに後からドラマー、ベーシストにドラム、ベースを入れてもらうというロベンの作品においてはこれまでと異なるレコーディング手法が採用されている。(その手法により)「音楽を完全にコントロールすることができたし、このアルバムではそれがとても重要だったんだ。」とロベンが語っているように、今作では統制された中での色彩豊かな楽曲、ギターが聴き手を魅了する。最新作「Pure」についてロベンに訊いた。
Interview / Text Mamoru Moriyama
Translation Hiroshi Takakura
Photo by Mascha Muenzesheimer
Muse On Muse (以下MM) : 新作「PURE」は「Tiger Walk」以来となる全曲がインストゥルメンタル曲のアルバムとなっていますが、その背景についてお聞かせ下さい。
Robben Ford (以下RF) : 2019年から2020年にかけてインストの曲を中心に作っていて、ヴォーカルではなくギターと作曲に集中していたんだ。曲のプロデュースもやっていた。そしてパンデミックが起きたことにより全てが止まってしまった。他のミュージシャンと仕事をすることができなくなったから自身のインストのアルバムを作ろうと決めたんだ。
MM : 今回はこれまでの作品とは違うレコーディングプロセスを経て作られたとのことですが。
RF : まず僕とケイシー・ワズナーとでスタジオで曲を組んでから、ドラマーに曲を送って生ドラムを録音してもらった。その後にベーシストをスタジオに招いてベースを入れてもらうといった流れだ。僕にとっては非常に大きな変化で、このプロダクションの方法を採ることによって、音楽を完全にコントロールする事ができた。それが一番重要な事だからね。
MM : 前作「PURPLE」に続き、今回の作品もレコーディングスタジオ THE PURPLE HOUSEにてあなたとケイシー・ワズナーの共同プロデュースで制作されています。THE PURPLE HOUSEでの作業のどのようなところを気に入っていますか?
RF : パープルハウスのスタジオでの作業は慣れているからとても楽だね。ケイシーがスタジオ内のレコーディングルームや機材を良く理解しているからとても心地よく共同作業ができるんだ。
MM : 作曲という面では、ボーカルが入る歌入りの曲とインストゥルメンタル曲ではアプローチ方法は違ったりするのでしょうか?
RF : 大きな違いはないね。もちろん歌詞を書くことは、特に僕にとっては難しいよ。音楽のアイデアは簡単に浮かぶし、演奏することは楽しいんだけど、歌詞を書くのは仕事という感じだね。
Photo by Mascha Muenzesheimer
MM : アルバムタイトル曲である “Pure (Prelude)”、”Pure”について教えて下さい。
RF : まず始めに作った2曲のうちの1曲だね。メロディーが降りてきて、そこから肉付けをしていった。ソロはインドのラーガのようなスタイルに挑戦したんだけど、トラックとの相性がすごく合っていて、良い出来上がりになったと思うよ。
MM : “Balafon”ではギターの生々しいサウンドと中間部での良い意味で無機質的なサウンドの対比がクールです。
RF : この曲では別々のアンプとギターを使ったんだ。メロディーはギブソンの 1964ギターとアンプはLittle Waterの15wと“King Auther”のヘッドを使用している。ソロはPRSのギターにLittle Waterの50wのヘッドを通した音だね。別々のスタジオで録音したということもあり、良いコントラストが産まれたんだと思う。
MM : “White Rock Beer…8cents” や ”Blues for Lonnie Johnson” ではソウルフルなギターが聴き手の耳を奪います。
RF : “White Rock Beer…8cents” はフレディ・キングのようなタイプのインスト曲だね。”Blues for Lonnie Johnson”はKey Cのスローなブルースの曲の上に、完全に即興でギターを弾いて、ホーンは後でオーバーダブしたよ。どちらの曲もインスタグラムでライブをしてる時に録音したから一発録りだね。ライブ演奏っていうのはスペシャルな力を産み出すんだ。
MM : “Milam Palmo” の曲の冒頭からのメロディは少し奇妙でありつつも親しみやすく、中毒性を持つ曲です。
RF : これは僕のガールフレンドについてのラブソングだね。ミラム・パルモっていうのは彼女の仏教徒としての名前なんだ。音もギターソロも曲も良いものに仕上がったし自信を持ってるよ。
MM : “Go” ではファンクなグルーヴ、サックスとギターの絡みが魅力を放っています。
RF : もともとはネイト・スミスっていう最近ナッシュビルに引っ越ししたドラマーの為に書いた曲で、彼と一緒にレコーディングしたかった。彼はこういうフィーリングの曲を演奏するのが凄く上手いんだ。
MM : “A Dragon’s Tail” は、プログレッシブ的でミステリアスな雰囲気、そして中間部での主旋律に絡むアルペジオが印象的な曲です。
RF : まずはイントロのメロディーからスタートさせて、それを反復させた。その後は雰囲気を壊さないまま最初のパート、真ん中のパート、最後のパートを作っていく事が大事なんだ。曲を作っているときは自分のスタイルで進めることと同時に、自分がリスナーになることも大事だよ。
MM : アルバムは、伸びやかなギターのトーンでメロディックな旋律を奏でる ”If You Want Me To” で幕を閉じます。
RF : 何年か前に思いついたリフを弾いた曲で、ニューオーリーンズ的なフィーリングを取り入れた部分が気に入っているよ。凄く歪ませたトーンで弾いたのも楽しかったね。
MM : アルバムで使用しているギター、アンプ、ペダル類について教えて下さい。
RF : エフェクトは主にスタジオ内のリヴァーブやディレイを使ったね。このアルバムでは僕の持ってるギターを全部使ったから全部は言えないよ。アンプは主にLittle Walterの50wヘッドに12インチのシングルキャビネットを使った。”White Rock”、 “Lonnie”、”Go”、”Dragon’s Tail”のソロでではダンブルのヘッドとキャビネットを使ったよ。
MM : 今後の予定を教えて下さい。
RF : 今は自分のギターレッスンのサイトGuitar Dojo (robbenfordguitardojo.com)の仕事を優先させているよ。演奏もあちらこちらで少しやってるけど、基本的にはDojoに集中しているね。
MM : ファンへのメッセージをお願いします。
RF : みんなに愛を贈るよ。2022年のみんなの健康と成功を祈っている。
Robben Ford official website https://www.robbenford.com/
Robben Ford official youtube https://www.youtube.com/c/RobbenFordofficial/
Robben Ford / Pure
1. Pure (Prelude)
2. White Rock Beer … 8 Cents
3. Balafon
4. Milam Palmo
5. Go
6. Blues For Lonnie Johnson
7. A Dragon’s Tail
8. Pure
9. If You Want Me Too