Vol.117 Oz Noy / January 2021

Oz Noy


Photo by Yossi Zwecker

オズ・ノイが通算11作目となるニューアルバム「SNAPDRAGON」をリリースした。この作品には、ベースにウィル・リー、ジョン・パティトゥッチ、ジェームス・ジナス、ドラムにデイヴ・ウェックル、ヴィニー・カリウタ、デニス・チェンバースといった最強のリズム隊、さらには、トランペットにウォレス・ルーニー(コロナ感染により2020年3月31日に他界)、ジョン・スナイダー、ソプラノ・サックスにクリス・ポッター、ギターのアダム・ロジャースといった豪華ミュージシャンが招かれており、彼等のプレイを活かした見事なOz Worldが展開されている。リアルなミュージシャン達による臨場感に溢れる圧巻のプレイが堪能できる新作「SNAPDRAGON」についてオズに訊いた。

Interview / Text  Mamoru Moriyama
Translation         Hiroshi Takakura


Photo by Cari Paige , studioberengere.com

Muse On Muse (以下MM) : 新作「SNAPDRAGON」は、豪華ミュージシャンを招き、彼等のプレイを活かした見事なOz Worldを創り上げる事に成功した聴きごたえのあるアルバムとなっています。
Oz Noy (以下ON) : 良いグルーヴと雰囲気を作り出してくれるミュージシャンとコラボするのはいつだって良いものだよ。このアルバムではいつもよりジャズの要素を出しつつもバックビートのグルーヴを出したかったからね。

MM : 草花と龍がギターに重ねられた美しいアルバムのアートワークも魅力的です。
ON : あれは僕のアイデアだね。スナップドラゴンという名前の花があるんだ。だからギターと龍を花にあしらえたアイデアを考えて、友人の素晴らしいアーティスト、エヴァ・ハッターに絵とデザインを手掛けてもらったんだ。彼女は素晴らしいアーティストだよ!

MM : アルバム中の6曲があなたの作曲によるものですが、コンポーザーとしてのあなたの曲への取り組みについて教えて下さい。
ON : 曲を書くのには時間がかかるよ。アイデアは常日頃から集めているんだけど、曲としてはアルバムを作る時にしか書かないんだ。まずどんなスタイルやサウンドにするかってコンセプトを決めて、曲作りの方向性を決めていくんだ。このアルバムは前作「 Booga Looga Loo」のVol.2にあたるから、僕が好きなブーガルー/70年代のエレクトリックジャズのスタイルでいくと決めたんだ。

MM : アルバムのオープニングを飾る”Looni Tooni”では、John Sniderのトランペットとあなたのギターによるエキサイティングな絡みが印象的です。
ON : そうだね。このギターのトーンとトランペットとのコンビネーションは大好きだよ!トーンだけじゃなくプロダクションも重要で、トランペットが入ることを念頭に曲を書かないとそれが生きてこないからね。

MM : “Tired But Wired”では、Chris Potterによるエモーショナルなソプラノ・サックスがあなたの曲をより引きたてています。
ON : 僕にとって重要かつ面白い曲だね!このスローで7/4のフッキーなコード進行 の曲は、実は20年前にニューヨークに拠点を移した時に原形を作った曲なんだ。長い時間をかけて曲を仕上ようとしたり、違うヴァージョンをやろうとしたけど、なかなか完成させる事ができなかった。でもなぜかこのアルバムの制作時にトライしたら、魔法がかかったように正しい形に仕上がったんだ。この曲の作曲に関しては、胸を張って良いものができたと言えるよ。

MM : “Outer Look”で極上のトランペットを演奏しているWallace Toneyは、残念ながらコロナ感染により59歳という若さで亡くなりました。
ON : この曲はジョー・ヘンダーソンの ”Inner Urge” を元にしている。既にある曲を元に新しい曲を作り上げるのも好きだからこの曲を書いた。ウォレスの事は大好きだよ。彼は僕のお気に入りのトランペッターだったし、彼が若くして亡くなったのは本当に心苦しいんだ・・・

MM : アルバムのタイトルである”SNAPDRAGON”について教えて下さい。
ON : “SNAPDRAGON” もまたジョー・ヘンダーソンの ”Black Narcissus” という曲をベースに書いた曲だよ。ジミ・ヘンドリックスのマニアックで鬱が入ったようなグルーヴに、オールマンブラザーズのようなサウンドをミックスさせて、ジャズのハーモニーと一緒に奏でているんだ。この曲を演奏するのはすごく好きだよ。

MM : “Groovin’ Grant”では、Adam Rogersとあなたの2人のギター名手による個性的な素晴らしいギターの共演を聴くことができます。
ON : アダムは僕の良い友人で一緒にちょっとしたバンドをやっていて、時々ニューヨークでライブするんだ。2人のギタリストが一緒にギターを弾くのに良い曲でライブでも演奏した事があるんだ。ブルースとブーガルーのグルーヴを持った曲で、シンプルなんだけど演奏するのはとても楽しいよ。グラント・グリーンへのトリビュートでもあるんだけど、実際にはウェス・モンゴメリーに近いサウンドになったね。

MM : 前作「Booga Looga Loo」にも収録されたThelonious Monkの”BEMSHA SWING”を別テイクで今作に収録している理由を教えて下さい。
ON : このヴァージョンは全く違うバンドで演奏していて、ヴィニー・カリウタ、ジョン・パティトゥッチとジェイソン・リンドナーがメンバーなんだよ。スタジオでただジャムしていたんだけど、それが凄く良くって、これはアルバムに使わないとって考えたんだ。今までレコーディングしてきた中でもお気に入りのトラックだよ!

MM : アルバムで使用したギター、アンプ、ペダル類を教えて下さい。
ON : アンプは Two Rockの TS1とClassic Reverb、Marshallの Plexi 50W & 100Wを使ったんだけど、ほとんどの曲はTS1だね。ギターは僕のカスタムのFender Shop 68と58、Esquire Master buid by John Cruzのネックピックアップ、 Red Eye Custom shop Gibson Les Paulを使ったよ。ペダルは僕のいつものセットアップで、僕のシグネチャーモデルであるXotic AC/RC/OZペダルをほとんどのリードギターに使っている。ブルース調の曲にはAnalog Manモデルの Ibanez TS808を使った。DSL EffectsのRoto Simをレスリーペダルとして、BossのDD7とLINE6 HXをルーパーや少し変わったディレイやトレモロとして使ったよ。

MM : あなたはSkypeを通してプライベートレッスンも手掛けているようですが、レッスンを通じて感じていることやギターに取り組む人達へのアドバイスはございますか?
ON : そうだね。毎回教える事によって自分も学んでるよ。同じ事をやるにしても生徒に教える事で違った角度から気づく事があるんだ。アドバイスとしては、まずは練習が大事なんだけど、出来るだけ他のミュージシャンと一緒に演奏することが重要で、ライブするのも凄く大切だね。

MM : ファンへのメッセージをお願いします。
ON : 自分が好きな事をやるんだ。音楽がある人生は豊かだし、好きで楽しいならとにかくやる事だね。

Oz Noy official site  http://www.oznoy.com/


Oz Noy / Snapdragon

1. Looni Tooni
2. Tired but Wired
3. Outer Look
4. She’s Not There
5. Boom, Boo, Boom
6. Snapdragon
7. Evidence
8. Groovin’ Grant
9. Bemsha Swing (Alt take)