Vol.113 Gustavo Carmo / September 2020

Gustavo Carmo

ANGRAの元ドラマーであるAquiles Priester(アキレス・プリースター)とタッグを組んだメタル/ロック・フュージョン曲揃いのインストゥルメント作品「Our Lives, 13 Years Later…」では、ゲストにトニー・マカパイン、ヴィニー・ムーア、グレッグ・ハウを招き、堂々たるギタープレイで共演していたGustavo Carmo(グスタボ・カルモ)。今回、グスタボはリズム隊にブライアン・ティッシー(ドラム)、ルディ・サーゾ(ベース)、そしてキーボードには、デレク・シェリニアンを招いて自身名義では初となるシュレッドなロック・ギター・インストゥルメンタルが詰まったEP作品「On and Off」をリリース。テクニカルかつセンスあるギタープレイに卓越したソングライティング能力を併せ持つ要注目のブラジリアン・ギタリスト、グスタボ・カルモに最新EP「On and Off」について訊いた。

Interview / Text  Mamoru Moriyama
Translation         Hiroshi Takakura

MM : あなた名義では初となるギターインスト作品「On and Off」は、アルバムではなく4曲入りEPとしてリリースされました。EPとした理由を教えて下さい。
GC : 当初のプロジェクトはブライアン、ルディとデレクとの4人でスタジオ内でライブして、3曲のビデオを撮るって内容だったんだ。コロナウイルスにより各自がいる場所から動けなくなったから、オーディオだけで録音しようってその数ヶ月後に決めたんだ。僕が書いた4曲のうち3曲のビデオを撮ろうとと思ってたんだけど、結局4曲を全て録音する事になった。新しい素材を早くリリースしたかったからEPという形にしたんだ。フルアルバムを作るにはもっと時間がかかるからね。

MM : 作品には80年代的シュレッドなギタープレイが満載の爽快なロックギター曲が収録されています。今回はどのようなことを目指したのでしょうか?
GC : 一番やりたかったのは、インストのロック、それもギターによって疾走感が加わったロックだね。僕は80年代のムーブメントとギタリストに大きく影響を受けているから、あの時代のようなシュレッドのギターが多く入っているのは自然な事なんだ。インスト曲がグルーヴ、ハーモニー、メロディーや音数の多さでクレイジーになったとしても、目的は聴いてくれるみんなをヘッドバンギングさせるって事さ。それがロックンロールが生み出す鼓動であり興奮なんだよ。だからそれが僕のゴールだね。もう一つ大事な要素は、ライブで完全に再現できるような曲の構成にしたって事だね。リズムギターのトラックを含まず、ギターは曲を通して常に1トラックなんだ。全ての曲が4ピースのバンドでライブ演奏できるように作曲されていて、ライブ時にバッキングトラックは必要無い。ライブというキャンパスとスタジオというキャンパスを近づけた。ギターをいくつも重ねるといった最近食傷気味になっている方法は採っていない。もしギターを重ねたりすると、ライブの際にバッキング・トラックを再生するか、音源とは違うライブになるか、又は曲を忠実に再現する為に多くのミュージシャンが必要になるからね。

MM : あなたの場合は、ジャズ・フュージョン的な音楽スタイルの作品を作ることも可能かと思われますが、そのような作品は考えなかったのでしょうか?
GC : 今回に関してはノーだね。ストレートなロックを表現したいって気持ちが強かった。次のリリースではジャズやフュージョンを取り入れた曲をやるのは間違いない。でも今回はロックが生み出す強力なエネルギーを爆発させるのが良いって思ったんだ。今回一緒にやったメンバーは技術的にはどんなジャンルでも演奏できるミュージシャンなんだけど、このメンバーでやるって決まった時のイメージがロックだったからその方向性に進んだんだ。

MM : ドラムにブライアン・ティッシー、ベースにルディ・サーゾ、そしてキーボードにはデレク・シェリニアンが参加することとなった経緯について教えて下さい。
GC : ブライアン・ティッシーは僕にとって憧れの存在なんだ。ザック・ワイルドのPride and Gloryのドラマーだった90年代に彼の音楽を初めて聴いたけど、彼のプレイだけでなく、彼が今まで築き上げてきた事や作品や仕事に対する姿勢も含めて大好きだ。彼が企画したBonzo Bashのイベントでプレイししているのを見た時からいつか必ず連絡して一緒に仕事をしようって誓ったんだ。あんな豪華なメンツを招いた特別なイベントを運営するのは本当に大変だと思う。遂にその日が来て、彼にメッセージを送った。そこから全てが始まったんだ。彼にこのプロジェクトへの参加とアドバイスを丁寧にお願いした。詳細についてディスカッションしたあと、彼はルディとデレクと一緒にやることを提案してくれた。2人ともブライアンと仕事した経験があったからね。そうやって僕たち4人が集まったんだ。

MM : 今作のレコーディングはどのように進められたのでしょうか?
GC : パンデミックの中でのプロジェクトだったから全パートはリモートでレコーディングされたよ。
まず僕が曲の構成やアレンジのアイデアを含めたデモを作って、次にブライアンがドラムを録音し、そのドラムの上でルディがベースを弾く、そしてデレクが最後にキーボードを入れるといった作業だった。その後に僕がデモで録ったギターのパートと、他の楽器のアレンジに合わせて録り直したパートを加えるという流れだった。

MM : アルバムに収録されている各曲についてあなた自身による解説をお願い出来るでしょうか?
GC : どの曲もタイトルを介して音楽とコンピュータの世界との間の架け橋のようなものを持たせているんだ。

“Byte Me!”
この曲はストレートにヘッドバンギングできるロックで、強力なエネルギーと多くの音が込められている。曲の中間ではプログの影響も感じられる曲で、ジョー・サトリアーニのような雰囲気がある。高揚感があるエネルギーを届けたかったんだ。ギターではいわゆる喰いつく(Bite)ようなトーンやプレイが多く入っていたから、曲のタイトルは関連して ”Byte Me” と名付けた。低いピッチで弾いたメインのリフからアレンジして、ネック上で様々なパターンのリックやランフレーズを弾いたんだ。さらに壮大な雰囲気のパートを加えて、高揚感があるパートとシリアスなパートにコントラストを付けている。

“Chain of Responsibility”
この曲を書いた時はRushをイメージしていたよ。まず突出したベースラインが必要で、次にギターとのコンビネーションが生まれるドラムフィルがたくさん必要だった。この曲もハイテンションで進んでいく曲なんだけど、それだけではなく壮大な雰囲気も入れたかった。デレク・シェリニアンのソロをイメージして書いた曲で、プログレの要素も取り入れたかったから、彼にはプログとロックを融合した形で演奏してもらった。どんなスタイルでもできるという点で、彼より右に出るものはいないからね。エンディングはメインのハーモニーに被さるようにギター・ソロが入り、その後にコードに輪郭のあるランを即興でつなげていくって流れさ。

“Clojure”
“Clojure”は4曲の中で最も内面的かつドラマティックな曲でテンポも遅く、ゲイリー・ムーアの雄大なテーマソングのような曲だね。当初のテーマからは何回か変更して、エキゾチックな雰囲気で緩やかでナチュラルな雰囲気の曲になったよ。あるサイクルの終わりを描いた曲だ。現在のドアを閉めて、新しいドアを開ければ新しい経験が待っているのさ。

“Contextual Bandits”
典型的なヘッドバンギングなリフが疾走感を与え、強烈なハーモニーと燃えるようなソロが詰まった展開の曲だね。極力なベースとドラムパターンを作ろうとして、そのメインリフから全てが派生したんだ。

MM : 今回のアルバムの中で使用したギター、アンプ、エフェクター、ペダル類を教えて下さい。
GC : ギターはPRSカスタム24の一本しか使っていないんだ。アンプはMarshallのJCM 900 Headにキャビネットはchannel 1とMarshall 1960を使った。ミックスの段階でいくつかのディレイ・ユニットとフランジャーを使ったよ。以上だね。

MM : ファンへのメッセージをお願いします。
GC : このインタビューを読んだみんながEPをチェックしてくれて、僕とスペシャルなゲスト達が注ぎ込んだエネルギーを感じてくれたら幸せだよ。すごく楽しかったからね。最高のチームの一員になれて光栄だよ。体に気を付けて、僕たちとロックしよう!

Gustavo Carmo Instagram: https://www.instagram.com/_gustavocarmo/
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Gustavo Carmo / On and Off
1. Byte Me!
2. Chain of Responsibility
3. Clojure
4. Contextual Bandits

Gustavo Carmo (Guitars)
Special guest: Brian Tichy (Drums)
Special guest: Rudy Sarzo (Bass)
Special guest: Derek Sherinian (Keys)


Aquiles Priester | Gustavo Carmo / Our Lives, 13 Years Later…
1. Elevator
2. Dolphin Race [Special Guest: Greg Howe]
3. Carousel
4. Our Lives, 13 Years Later…
5. Titanic: A Night to Remember [Special Guest: Vinnie Moore]
6. The Old Man and the Sea [Special Guest: Tony MacAlpine]
7. Cluttered Inbox [Special Guest: Kevin Moore and Seda Baykara]
8. The Bucket Is Full [Special Guest: Nili Brosh]
BONUS TRACKS:
9. Jubilation / Sunburst
10. PsychOctopus Drum Solo