Vol.100 Tyler Bryant and the Shakedown / August 2019

Tyler Bryant and the Shakedown

期待のロックギタリスト/シンガー/ソングライターであるタイラー・ブライアント率いるTyler Bryant and the Shakedownが3作目となるオリジナル・スタジオ・アルバム「Truth and Lies」をリリース。これまでにジェフ・ベックやエアロ・スミス、AC/DC、ガンズ・アンド・ ローゼズなど錚々たるレジェンド・ロック・ミュージシャンとツアーする中でミュージシャンとしての実力を鍛え抜かれたTyler Bryant and the Shakedown。

ニューアルバム「Truth and Lies」は、Tyler Bryant and the Shakedownの定番スタイルであるブルース・ロックから勢いあるハードロック曲、そして珠玉のロック・バラードに至るまでこれまで以上に幅広いロックファンを魅了する作品となっている。
次世代のギターヒーローを感じさせるタイラー・ブライアントのギタープレイも健在。 “Couldn’t See The Fire”のエンディングにおけるエモーショナルで歌い上げるような圧巻のギターソロは、この作品の聴きどころとなっていると共に、バンドで同じくギターを担うGraham Whitford(グラハム・ウィットフォード)とアルバムの全編で素晴らしいロックギターを聴かせてくれる。
リアルなロックアルバム「Truth and Lies」についてタイラー・ブライアントに訊いた。

Interview / Text  Mamoru Moriyama
Translation         Hiroshi Takakura


Tyler Bryant and the Shakedown l to r : Graham Whitford[Guitar], Tyler Bryant[Lead Vocals/Guitar], Caleb Crosby[Drums], Noah Denney[Bass]

Muse On Muse (以下MM) : ニューアルバム「Truth and Lies」は、ブルース・ロックを核としながらもドライヴ感に溢れるハードロックからスケール感のあるバラードに至るまでより音楽性の幅が拡がった素晴らしいロックアルバムとなっています。この作品ではどのようなことを目指しましたか?
Tyler Bryant (以下TB) : 俺たちの音楽に対して正直でありたかった。このバンドShakedownは幅広い音楽性を持ってるから、躊躇なく一つのジャンルから飛び出す事ができる。このレコードでは多様なスタイルの曲達を入れただけでなく、俺たちのサウンドによってそういった曲達を一つのアルバムとしてまとめ上げる事が出来たから、仕上がりにはすごく満足しているよ。

MM : The Black Keys、 Highly Suspect、Tom Waits等を手掛けたことでも知られているプロデューサー、エンジニアのJoel Hamiltonを今作に迎えていますが、彼にはどのようなことを期待しましたか?
TB : 彼が手掛けたレコードを聴くだけで彼の雰囲気やスタイル、エネルギーについてはわかっていたよ。彼について知っていたのはそれだけだけど、そこが一番大事だからね。Shakedownのサウンドを上手く掴んで、素晴らしい仕事をしてくれた。

MM : 今作のためにデモ55曲を準備していたとのことですが、それらデモの曲作りはどのように進められたのでしょうか?
TB : 俺はコンスタントに曲を書いてレコーディングしているから、55曲のデモを作るのも普通の事なんだ。曲を書くのは絵の具を壁に投げつけるような作業で、考え込まずにクイックに直感的に作るのが好きだ。美しい曲が出来る時もあれば出来ない時もあるけどね。とにかくデモをたくさん作るのに多くの時間を費やしているよ。それとスタジオに入る前に曲や多くのアイデアをまとめてる事により、スタジオでは演奏や歌う事に集中できると思っている。

MM : 最終的には13曲がアルバムに収録されていますが、55曲から13曲にはどのようにして絞りこんだのでしょうか?
TB : メンバーのみんなとキッチンに座ってみんなのお気に入りの曲をリストアップした。俺たち4人はその中の27曲に可能性を見出したからその27曲を練習して、そしてラッキーナンバーである13曲に残った曲が明らかに俺たちShakedownにふさわしい曲だったって話さ。

MM : アルバムではロックフィーリングに溢れるリアルで素晴らしいサウンド、演奏を聴くことができます。レコーディングはどのように行われたのでしょうか?
TB : ありがとう。録音はライブに近い形で行いその後のいわゆる編集的な作業をほとんどしていないからね。そういった生演奏のフィーリングが俺がロックンロールを愛する理由であり、この作品がデンジャラスなクオリティを持った理由でもあるんだ。

MM : AC/DCやGuns N’ Rosesといったハードロックの頂点に位置するミュージシャン達とのツアーの経験はこのアルバムにどのような影響を与えていますか?
TB:彼らとの仕事をした時はいつも曲のアイデアが溢れ出すんだ。俺たちのライブ、作曲、仕事のやり方、全てにおいて彼らレジェンド達の影響を受けているよ。

MM : “Shock and Awe”では闇の儀式的なミュージックビデオが印象的ですが、この曲について説明下さい。
TB : シングル ”On To The Next” のジャケとアルバムのジャケとの統一感を大事にしたいって考えてたんだけど、ドラマーのカレブが大の蛇好きで、”Shock & Awe” のリフに蛇がまとわりつくってアイデアを考えついたんだ。友人のジョシュ・クラーニッヒに連絡して2日後にはビデオは完成したよ。さっきの質問でも「絵の具をキャンパスに投げつける」ようなやり方について説明したけど、今回もその直感的なやり方が素晴らしい結果につながったのさ。

MM : “On To The Next”ではボーカルのメロディラインのリズムが生み出すグルーヴが印象的です。
TB : あの曲はまずドラムから始めたんだ。ギターリフ、ボーカルのメロディーや歌詞はそのドラムのグルーヴからインスパイアされて出来たものだ。クリス・ロビンソンは俺のお気に入りのプロデューサーの1人で、彼のようなリズミカルなボーカルが好きで、この曲はそういったスタイルへのトリビュートになっている。

MM : 疾走感に溢れた”Drive Me Mad”は真にライヴに相応しいロックナンバーです。
TB : 直感的に、早いスピードで曲を作るって話を前の質問でも答えたが、この曲はグラハムとで10分から15分で作った曲だ。アップテンポなロックな気分だったからそんな感じの曲を作ったのさ。

MM : “Couldn’t See The Fire”のエンディングにおけるエモーショナルで歌い上げるようなギターソロが圧巻です。
TB : この曲はアルバムの中でもお気に入りだね。息をするのも忘れるほどソロを弾くのに没頭したから、弾き終わった時は目眩がしたよ。音楽に持って行かれた時にはそういう事も起こるんだ。2テイク録音した後、もう一度演ろうとしたけど、ジョンはもういいって言ったんだ。ギターソロは感情をぶつける事が大事だから、ジョンがストップしてくれた事はポジティブな事だ。曲の他のパートはバンドメンバーが素晴らしい曲に仕上げてくれた。俺のギターのフレットは擦り切れて、これ以上の所にはいけないレベルに達して、このアルバムは終わりを迎えた。そして次作へと繋がっていくのさ。

MM : アルバムはパワフルなロックから美しく心を打つバラードである”Out There”や”Shape I’m In”に至るまで抑揚のある構成となっており聴き手をどっぷりとあなた達の世界に惹き込みます。
TB : 俺たちにとってアルバムの流れはとても重要なんだ。リスナーには音楽を通して旅に出るような気分になって欲しいから、そうなるように曲を選んだ。俺たちは、幅広いスタイルの曲が入ったレコードを作るだけでなく、その作品内に統一感を持たせる事に成功したんだ。同じジャンルに留まってしまうのはつまらないからね。俺たちはロックが好きでブルースが好きで、その時々によってそれらを分解して再構築するのさ。

MM : バンドにはギタリストとしてあなたとグラハム・ウィットフォードがいます。あなたはストラト、グラハムはレスポールでサウンドを棲み分けしているように見えますが、ギターの音作りの部分において二人はどのように取り組んでいるのでしょうか?
TB : 俺たちは長い時間を共にしているからお互いの事をわかり合っていて、多くを語る事なくナチュラルに一緒にプレイできるんだ。こんな感じでプレイできるのはすごい事だと思う。ちなみにグラハムが弾いた ”Couldn’t See The Fire”  でのソロパートの最初の部分も最高だよ。

MM : アルバムで使用したギター、アンプ、ペダル類を教えて下さい。
TB : Rodenbergというドイツのメーカーが作ってくれた俺のシグネチャー・モデル TB Driveってオーバードライブ・ペダルを全曲で使用している。ファズはJext TelezのペダルやZVEX Mastaron、ヴィンテージのDallas Arbiterと古いラジオの回路を使ったSquare Ampsっていうブランドのアンプを通している。小型のフェンダーのアンプを何台も通すのも俺のスタンダードなセットアップだ。メインのギターの二つはピンクのStrat、白いStrat(The Judge)、59年式のカスタムショップのStrat-Tele、31年式のNational DuolianのResonator、それとD’angeloのDelux DCがこのアルバムで使用したギターさ。

MM : 今後の予定を教えて下さい。
TB : ちょうどThe Temperance Movementとの共同ツアーが始まるところで、秋にはヨーロッパを回る予定だ。たくさんのライブが予定されていて待ちきれないね。

MM : ファンへのメッセージをお願いします。
TB : シェイカーズ(ファン)のみんながこのアルバムに夢中になってくれるのが待ちきれないよ。
近くの街でライブする時に来て一緒に歌って欲しい。いつもサポートしてくれてありがとう!

Tyler Bryant and the Shakedown official site : http://www.tylerbryantandtheshakedown.com/


Tyler Bryant and the Shakedown / Truth and Lies

01. Shock and Awe
02. On To The Next
03. Ride
04. Shape I’m In
05. Eye To Eye
06. Panic Button
07. Judgement Day
08. Drive Me Mad
09. Without You
10. Trouble
11. Out There
12. Cry Wolf
13. Couldn’t See The Fire