Jake E Lee
Photo by Joe Gorelick
Jake E Lee (ジェイク・E・リー)がRED DRAGON CARTELとしての2作目となるアルバム「PATINA」をリリース。1作目「RED DRAGON CARTEL」ではオジー時代を想起させるギター・リフで幕を開ける”DECEIVED”を筆頭にファンを歓喜させたジェイクだが、今作「PATINA」ではロックの原点に回帰した楽曲、リアルなミュージシャンによるリアルなロック、実験的で多彩なギター・サウンドを提示。聴けば聴くほどに楽曲やジェイクのギター、バンドが放つ魅力にどんどん惹きこまれていく・・今後末永くファンに愛聴されていくであろう作品となっている。ニュー・アルバム「PATINA」についてジェイクに訊いた。
Interview / Text Mamoru Moriyama
Translation Hiroshi Takakura
Photo by Joe Gorelick
Muse On Muse (以下MM) : ニュー・アルバム「PATINA」は聴けば聴くほどに楽曲やあなたのギターの魅力にどんどん惹きこまれていく・・今後末永くファンに愛聴されていくであろう中毒性の高い素晴らしい作品です。
Jake E Lee (以下JL) : ありがとう!自分の音楽とギターの音に飽きたくないから、全ての曲に特別なサウンドと物語を与えようとトライしたよ。だから繰り返し聞くたびに新しい発見があり、どんどん引き込まれて行くようになっているんだと思う。仕上がりには満足しているよ。
MM : 前作「RED DRAGON CARTEL」では数多くのゲスト・シンガーが参加しておりプロジェクト的な要素がありましたが、今回のアルバムを制作するにあたってはどのようなアルバムにすることを考えましたか?
JL : 今アルバム「Patina」は音に統一性と知性がある作品にしたかった。ファーストに比べるとコラボレーションを減らして、もっとバンドとしての音楽をやりたかったんだ。「Patina」を最初から最後まで聞いた時、まるで映画を見終わったような気持ちになると思う。別々のシーン、異なるロケーションが一つに繋がっているからね。
MM : 前作のリリースからは5年ほど期間を空けての新作となりましたが、ここに至るまでの経緯についてお聞かせ下さい。
JL : 5年じゃなくて4年だよ!2年間はツアーをしていた。日本でも2回プレイしたね!俺は常に活動をしていなくてはいけないとは考えた事がないから、少し休みを入れたんだ。仕事以外の人生をすごく楽しんだよ!そしてアルバムの為の曲の制作とレコーディングに1年半を費やした。
MM : アルバムのタイトルを「PATINA」とした背景を教えて下さい。
JL : Patinaは年月を経て使用していく事により美しく現れる何かという意味なんだ。自分の音楽とギターに関してもこういった意味で捉えているよ。
MM : アルバムの曲作りはどのように進められたのでしょうか?
JL : 今作に関しては、ファーストと違って、フルのバンドメンバーで制作すると決めたんだ。アンソニーのスタジオはペンシルバニア州の牧場の中にあって、全員がそこに泊まり込む事ができたから、24時間みんなと一緒にいたよ。俺がスタジオにアイデアを持ち込んで、皆がそれを基にして音を出して行く感じだったから、その曲が良いどうかすぐに感じる事ができた。ダイナミックなやり方でできた上に、ツアーに出てライブする時の事も考慮したとても良いやり方だった。
MM : アルバムにおけるあなたのギターは、BADLANDS時代や60~70年代のロック・ミュージックへ回帰したかのようなギター・リフ、そして感情の赴くままに奏でられたかのような即興的なソロが印象的です。
JL : アントと俺とでオールド・スクールなやり方でレコーディングするって決めたんだ。彼のレコーディングは完璧で、正しいマイクを正しい角度と距離に設置して、コンプ等は全てきめ細かく設定されたハードウェアを使用する。もし録音された音が完璧でなかったら何回もやり直す。「ミックスの段階で修正するよ。」って流す事はやらないんだ。パフォーマンスに関しても同じで、オートチューンやビートの修正等、ごまかしのソフトは一切使わない。もし自然にそのパートを演奏できなかったら、できるまで何回も練習するんだ。
MM : “My Beautiful Mess”、”Ink & Water”、”Punchclown”などをはじめ、ソロではロック系以外の音楽ジャンルのテイストも感じさせるフレージングが印象的です。
JL : 俺はいつもオールジャンルで音楽が好きで聴いていた。特にクラシックやジャズは両親の影響でよく子供の頃に聴いていたんだ。ロサンジェルスに移ってRATTに加入する前はカントリー・ロックのバンド、ジャズ/フュージョンのバンドや、フルでホーンセクションがいたファンク・バンドにいた事もある。そうやって自分が聴いて育ったものや今でも聴き続けている様々な音楽の影響を自分の音楽に反映することで、その音楽が豊かになるんだ。少なくとも僕にとってはね。
Photo by Joe Gorelick
[RED DRAGON CARTEL l to r] Darren James Smith(vo), Jake E. Lee(g), Phil Varone(dr), Anthony Esposito(b)
MM : 今作でのギターは、弦が軋み、ピックが擦れる音までもが感じられそうなダイレクトなサウンドから曲の要所を音映えさせるエフェクティヴなサウンドに至るまで多彩です。ギターの音作りに関しては今回はどのように取り組みましたか?
JL : 凄く良いトーンを見つけてそれをアルバムを通して使うっていうやり方を殆どのギタリストがしているし、俺もいつもはそうんだんだけど、今回はその曲やそのパートに合ったベストな音を見つけて行くっていうやり方を採ったんだ。各曲を別の絵としてとらえて、それぞれの絵に合った特別な色をつけている。だからこのアルバムは別々の絵画を集めたギャラリーみたいなものなんだ。
MM : アルバムで使用しているギター、アンプ、ペダル類についても教えて下さい。
JL : それだけで一章ができるくらい長くなるよ!俺のギターの倉庫には友人のデイヴ・シザンからもらった 52 Tele、68 Tele、57 Strat、63 Strat、57 Gretsch、65 ES-335、69 Les Paul等や自分のヴィンテージ・ギターのコレクション、そしてCharvelのギターもある。ノートを見てみないとわからないけど、パートや曲に合わせて全てのギターを使ったよ。ペダルは古いのも含めてBinson Echorec、Boss Phase 5、Maestro Fuzz Phazer等、100個くらい所有している。 様々なアンプやキャビネットも使用した。多くのギターパートで57 Strat、俺のシグネチャーモデルのCharvel、Gibsonの68 SGスタンダード、335とLes Paulを使用したと思う。コーラスのエフェクターとしてはRolandのBoss CE-1を使った。最も多く使ったアンプはMarshalの1974 50wとOrangeのアニバーサリーモデルの50wだ。キャビネットはCelestion 25w Greenbacksが入った12インチx4を一番多く使った。
MM : あなたは80年代にギター・ヒーローとしてOzzyなどではフラッシーでトリッキーなギター・プレイを注目され、その後にBAD LANDSでのブルージーなハード・ロック、そして今回のRED DRAGON CARTELの新作ではよりロックの原点に回帰しているようにも見受けられます。あなた自身の内面では、オジー期、バッドランズ期、そして現在についてどのように変化を遂げてきたのでしょうか?
JL : ギターを始めたての頃は他の奴らよりも目立とうとしたり、人々の注目を集めたがるものだ。特にガンファイトのようだった80年代はね。自分自身を確立してからは、もっと音楽的に豊なスタイルでギターを弾こうとしていた。自分の事を「音楽をプレイするギタリスト」というよりも「ギターをプレイする音楽家」だと考えているからね。自分のプレイは年月をかけて成熟し進化した。そうなるべきで、そうならなければただの淀んだ水だからね。俺は30年前の自分自身のコピーにはなりたくない。これからも俺のギタープレイがどう進化していくか楽しみだよ。
MM : 2019年4月にはRED DRAGON CARTELで日本公演を行いますが、それら公演ではどのようなショーを期待できますか?
JL : ショーの大部分でこの新しいアルバムをプレイするだろう。ライブでほぼ完全に再現できる形で制作されたアルバムだからね。もちろんそれらの曲はレコードで聴くよりも遥かにハードに突き刺さるだろう。アルバムの曲をライブで演るのが本当に楽しみだよ。みんなも同じ気持ちだったら嬉しいね。
RED DRAGON CARTEL official site http://www.reddragoncartel.com/
RED DRAGON CARTEL / PATINA
CD : MICP 11470 ¥2,600+税 AVALON
1.Speedbag
2.Havana
3.Crooked Man
4.The Luxury Of Breathing
5.Bitter
6.Chasing Ghosts
7.A Painted Heart
8.Punchclown
9.My Beautiful Mess
10.Ink & Water
11.Havana B.C. [JAPANESE BONUS TRACK]