カテゴリー: FEATURES

Vol.141 Daniel Cavanagh / October 2024

Daniel Cavanagh


Photo by Caroline Traitler

2020年9月23日に無期限の活動休止を発表している英国のオルタナティヴ/プログレッシヴ・ロック・バンド、Anathema。
そのバンドの音楽性は、初期のゴシックメタルからプログレッシブロックに変遷しつつも卓越した作曲力や独自のサウンドにより創造される世界はディープな音楽ファンを強烈に引き寄せた。そのAnathemaの音楽の核となる部分を担ったダニエル・カヴァナー、ダニエル・カルドーゾが新たなバンド Weather Systemsを結成、アルバム『Ocean Without A Shore』をリリースした。この作品においても美しく、奥深い独自の音の世界は貫かれており、Anathemaを支え続けたディープなファンの期待に応える内容となっている。ダニエル・カヴァナーに作品や今後の活動について訊いた。

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Vol.140 Simon McBride / July 2024

Simon McBride


Photo by Jim Rakete

ハードロック界のレジェンド、ディープ・パープルが最新スタジオアルバム『=1』をリリースする。このアルバムは、スティーヴ・モーズの後任のギタリストであるサイモン・マクブライドがバンドに加入して以降の初となるスタジオアルバムである。ディープ・パープルといえば、これまでのギタリストには、御大リッチー・ブラックモアをはじめ、その後にトミー・ボーリン、一時的なツアーのみの参加であったがジョー・サトリアーニ、そしてスティーヴ・モーズといった匠なギタリスト達が名を連ねており、サイモン・マクブライド加入後において初となるディープ・パープルの今回の最新スタジオアルバム『=1』にも大きな注目と期待が集まる。アルバムのリリースに先行しミュージックビデオが公開されている”Portable Door”、”Pictures of You”においては、ディープ・パープルらしさを継承しつつ、楽曲の魅力を最大限に引き出すための的を得たバッキングギター、起承転結のあるエモーショナルかつクレバーなギターソロなどサイモン・マクブライドのオリジナリティあるギターワークを確認することができる。サイモン・マクブライドに彼の音楽的バックグランドやディープ・パープルとの出会い、そして最新スタジオアルバム『=1』などについて聞いた。

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Vol.139 Guthrie Govan / June 2024

Guthrie Govan


Photo by Jon Luini

Guthrie Govan(ガスリー・ゴーヴァン [guitar] )、Bryan Beller(ブライアン・ベラー [bass] )、Marco Minnemann(マルコ・ミネマン [drums])・・高次元の凄腕ミュージシャンのトリオによるバンド THE ARISTOCRATSが創り出した最新のコンセプトアルバム『DUCK』。アルバムのコンセプトとなっているアヒルを主人公とした物語 DUCK であるが、実は、最初に物語ありき・・ではなく、事前に各メンバーが分担して新作用に3曲づつを作曲、それら持ち寄った9曲を素材に全9章からなる物語を創作する、といった手法が取られているとのことである。様々な音楽ジャンルに深く精通し、それらを表現するための高度な演奏技術を持ち、まるで映画のワンシーンのような情景を音楽で創造するTHE ARISTOCRATSによる今回の作品は、聴き手のイマジネーションを最大限に刺激し、物語の中に深く惹き込んでいく。ガスリー・ゴーヴァンにTHE ARISTOCRATSの最新作『DUCK』のことについて語ってもらうとともに、ガスリーが参加しているハンス・ジマーのプロジェクトについても話を聞いた。

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Vol.138 TODAY WAS YESTERDAY / March 2024

TODAY WAS YESTERDAY

The Doors 21st Centuryのバンドメンバーとして共に活動していたアンジェロ・バルベラとタイ・デニスが音楽ユニットTODAY WAS YESTERDAY を結成し、セルフタイトルのデビューアルバム『TODAY WAS YESTERDAY』をリリースした。このアルバムには全10曲が収録されており、収録曲中の6曲にロックの殿堂入りを果たしたラッシュのアレックス・ライフソン、1曲にザ・ドアーズのロビー・クリーガーがゲストギタリストとして参加している。アルバムでは、ジャパン、ジェネシス、ティアーズ・フォー・フィアーズなど芸術的で美しく陰影のある音楽やレッド・ツエッペリン、ラッシュなどの実験的な音楽からの影響を彼等独自の音楽として昇華させているとともに、その一方で複雑でありながらも馴染みやすいキャッチーさを持ち合わせることに成功している。アンジェロ・バルベラ[ボーカル、ベース、ギター、キーボ-ド]とタイ・デニス[ドラム、パーカッション、プログラミング]にユニットの結成経緯やデビューアルバム『TODAY WAS YESTERDAY』について聞いた。

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Vol.137 Keith Scott / January 2024

Keith Scott


Photo ©Keith Scott

英国ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで2022年に収録されたブライアン・アダムスのライヴ作品「LIVE AT THE ROYAL ALBERT HALL」がリリースされた。この作品は「CUTS LIKE A KNIFE」、「INTO THE FIRE」、「WAKING UP THE NEIGHBOURS」の3枚のスタジオアルバムのそれぞれを全曲ライヴで演奏されたものが音源、映像で収録されている。このライヴ作品では、ブライアンの名曲の数々が今も尚、色あせることなくパワーと輝きを放っており、ブライアンとブライアンの盟友であるギタリスト、キース・スコットの素晴らしく、そして強固なコンビネーションが健在であることを証明している。このライヴ作品でも歌心あるギタープレイでブライアンの楽曲を見事に惹きたてているギターの名手、キース・スコットにこの作品について語って貰った。

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Vol.136 Francis Dunnery / November 2023

Francis Dunnery

ロックギタリスト達の多くが、そのプレイのルーツ、拠り所として取り上げるブルース音楽。そのあらゆる感情をダイレクトに表現し、聴き手に突き刺さるこの音楽に真正面から取り組んだリアルなブルースアルバム「THE BLUES OF TOMBSTONE DUNNERY」をフランシス・ダナリーがリリース。80年代にはプログレッシヴ・ロック・バンド IT BITESにてギタリスト・シンガーとして活躍したフランシス・ダナリーは、IT BITESから離れた以降も自らのミュージシャンとしての創造力に更なる輝きを増した数多くのアーティスティックな作品を創り続けていたが、2023年からは遂にIT BITES FDとしても始動しており、ライヴ作品「Live From The Black Country」をリリースしている。最新ブルースアルバム「THE BLUES OF TOMBSTONE DUNNERY」のことや気になる今後の予定についてフランシス・ダナリーに訊いた。

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Vol.135 Carl Verheyen / September 2023

Carl Verheyen

Carl Verheyen (カール・ヴァーヘイエン)の最新アルバム『RIVERBOAT SKY』がリリースされた。そのリアルなギタープレイにより弾き出される本物のギタートーンは、真に匠ならではのものである。全8曲が収録された今作では、8曲中の7曲がボーカル曲、残り1曲の”APRIL SURPRISE”がインストゥルメンタル曲の構成となっている。参加メンバーは、ジョン・メイダー(DRUMS)、デイヴ・マロッタ(BASS)、トロイ・デクスター(KEYS)からなるカールのお馴染みのツアー・バンドを核として、更にキーボードにジム・コックス、ドラムのチャド・ワッカーマン、パーカッションのアレックス・アクーナが参加。また、タイトル曲 “RIVERBOAT SKY” では、ソフィア・ジェームズ(米国のオーディション番組アメリカン・アイドルで知られている)が、カールとのボーカルに参加している。心強いメンバーをバックに制作された今作は、カールの味のある心地よいボーカル、匠なギタープレイの充実度はもちろん、各楽器パートによる臨場感に溢れるインプロヴァイズも充実しており、ボーカル入りの曲を好む音楽ファン、インストゥルメンタル曲を好む音楽ファン、双方の音楽ファンにアピールするバランスの取れた作品となっている。最新アルバム『RIVERBOAT SKY』についてカールに語って貰った。

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Vol.134 Michael Thompson / July 2023

Michael Thompson


© Lindsey M. Thompson

セリーヌ・ディオン、マライア・キャリーなど数多くのビッグ・アーティストのレコーディングやツアー、また、映画音楽への参加などで楽曲をより魅力的なものに昇華させるための最適解のギターをプレイしてきた超一流のセッション・ギタリスト、マイケル・トンプソン。
自身の活動としてもこれまでにソロアルバム『The World According To M.T.』、『M.T. Speaks』をリリースし、洗練されたクレバーなギタープレイが散りばめられた音楽でギターファンを魅了している。また、Michael Thompson Bandとしても過去に3作のスタジオアルバム、1作のライブ作品をリリースしており、その活動においてはギター音楽のファンに限らない、AOR / Rock音楽といったより幅広い音楽ファン層にアピールする音楽を手掛けている。
今回、そのMichael Thompson Bandにデビュー作『How Long』でボーカルを務めたムーン・カルホーンが復帰し、ニューアルバム『THE LOVE GOES ON』をリリース。このアルバムは、楽曲の持つメロディと表現力豊かなムーン・カルホーンのボーカル、アレンジの素晴らしさといったトータルな音楽面での魅力を持っている。さらにマイケル・トンプソンの楽曲をひきたたせる匠なギターも大きくフーチャーされており、AORやロック音楽を好むリスナーとプレイヤー目線を持つギターファンの双方を両立して満足させる作品となっている。ニューアルバム『THE LOVE GOES ON』についてマイケル・トンプソンに訊いた。

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Vol.133 Martin Miller / May 2023

Martin Miller

オンラインでのギターレッスンやギター教材の提供、そして登録者数が70万人以上、再生回数も1億2000万回以上を誇る自身のYouTubeチャンネルでは、Martin Miller Session Bandで70~90年代の名曲の数々を質の高いカヴァーで披露するなどで世界中にコアなファンを持つドイツ出身のミュージシャン、マーティン・ミラー。2013年にはギター主導のインストゥルメンタルアルバム「The Other End」をリリースしているマーティンだが、今回は自身がボーカルも担う最新作「Maze of My Mind」を発表。キャッチーな歌メロと高度なテクニックを基盤に知的なフィーリング、センスが溢れ出るギターワークが彩るプログレッシヴ・ヘヴィ・ロックに仕上げられたこの最新作では、マーティンのギタリストとしての魅力はもちろん、ボーカリスト、作曲・アレンジといったトータルな音楽センスが遺憾なく発揮されている。最新作「Maze of My Mind」についてマーティンに訊いた。

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Vol.132 Mike Keneally / March 2023

Mike Keneally


Photo by Martin Mann

フランク・ザッパ・バンドの後期をギタリストとして支え、その後も自身のソロ活動はもちろん、スティーヴ・ヴァイやジョー・サトリアーニ、デヴィン・タウンゼンドといった優れた鬼才、偉才なミュージシャンたちのアルバムやライヴにギター、キーボードで参加するなどマルチな才能を発揮し続けているマイク・ケネリー。ボーカル、ギター、キーボード、作曲、プロデュース etc. などマルチに音楽を操るミュージシャンは世に少なくないが、マイク・ケネリーのようにザッパ・バンドやスティーヴ・ヴァイ、ジョー・サトリアーニなどを確実にサポートできる突き抜けた演奏テクニック、音楽的な感性を持ち、コンポーザーとしても珠玉のメロディを紡ぎ出し、独自の摩訶不思議な音楽世界を創造できるミュージシャンはとても貴重な存在である。そんなマイク・ケネリーがニューアルバム「The Thing That Knowledge Can’t Eat」をリリースした。アルバムは全9曲でおよそ42分とコンパクトではあるが、どの曲も良い意味で普通ではない非常に癖があり、聴きごたえ十分の音楽エッセンスが詰め込まれたアイデアの宝庫となっており、聴き手を強烈に魅了する。マイク・ケネリーにニューアルバム「The Thing That Knowledge Can’t Eat」について訊いた。

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